144話 ページ23
〜三郎side〜
「ッ……うるさいっ！！」
アキの叫びに、その場にいた誰しもが驚いて身体を一歩引いた。あの冷静沈着な立花先輩や中在家先輩でさえも、だ。
「うるさいっ！うるさいっ！うるさいっ！！」
その声を聞きつけて、Aとサクラが部屋で話しているときに帰したはずの下級生が何事かと集まってくる。
当のアキはというと、その場に顔を埋めて座り込んでしまった。
……私は、忍たまとくのたまという違いはあれど、この5年間彼女と共に過ごしてきた。
その5年の中で、彼女が泣いたのを、私は見たことがない。
誇張でも何でもない。本当に見たことがないのだ。
だから、アキが泣いている姿を見るのはこれが初めてだった。
「鉢屋先輩、何があったのですか……？」
野次馬の中にいた庄左ヱ門と彦四郎が心配そうに尋ねてくる。
困ったな。この状況は下級生に心理的負担を与えかねない。
「……いや、大丈夫だ。心配ない。他の下級生にもここは私たちが何とかするから帰るように伝えてくれ」
本当は大丈夫なはずがない。嘘をつくのは心苦しいが、下級生のためにも何があったかを正直に話すわけにはいかない。
「……そうですか、わかりました」
そう返事はするものの、なにか納得していない様子で立ち去っていく2人。
あの2人が本当にふれて回ってくれたのか、野次馬は1人、2人と減っていき、しばらくすると全員いなくなった。
その場にはアキの嗚咽だけが響いており、サクラやAはそれを心配そうに見つめている。
彼女の言葉を強く咎めた潮江先輩と食満先輩はバツが悪そうにしているし、他の六年生や五年生も気まずそうにしている。
「……何よ、これっ……。こんなの、私が悪いみたいじゃない……っ」
嗚咽に混じって聞こえてくる呟きはなんとも弱々しいものだった。
"お前は何も悪くない"
そう言いたくても言えるわけがない。私にはそんなことを言う資格はない。
普段は気が強く、忍たまだろうが何だろうが臆することなくものを言う彼女だが、目の前で座り込んでいる姿は、私たち忍たまに比べると華奢で小さい。
やはり女子なのだと思い知らされて、彼女たちにしでかしたことに対して、強い自責の念が襲ってくる。
それは他の五、六年生も同じようで、誰もただただ黙っている。
そのときだった。
Aがアキの近くに膝をつき、彼女を抱きしめた。
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ハル - 凄く面白かったです！大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (
レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして！素敵な夢小説をありがとうございます！もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか？ (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます！亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです！ (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました！更新楽しみにしてます！ (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麗羅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時：2022年4月25日 22時
