143話 ページ22
話をするつもりのなさそうな山内さん。
そして、しばらく考え込んでいたサクラちゃんがとうとう口を開いた。
「……アキちゃん、私は言い訳なんてする気はないよ。ただ、私の考えをアキちゃんにも聞いてほしいだけ」
山内さんは聞いているのかいないのか分からないが、サクラちゃんは落ち着いて話を続ける。
「まず初めに、私は今までの天女様や上級生の行いを許したわけじゃない。天女様は今でも大嫌い」
「……それなら、なぜそこの現天女と仲良く話してるわけ?本気で天女を憎んでいるなら、そいつと仲良くするなんてできないはずよ」
……まあ、分かってはいたが、私に対する扱いが酷い。
どれもこれも全部天女のせいだ。
ふざけるなと叫びたい。
「そうかもしれないね。でも、私が言ってるのは、あくまで"天女様"のこと。私、Aちゃんは今までの天女様とは違うと思う」
「……証拠は?」
「ないよ。でも、私のくノ一としての勘がそう言ってる」
サクラちゃんがそう言い切ると、山内さんは呆れたようにため息をついた。
「話にならないわね。第一、私たちは前の天女を信じて酷い目に遭ったじゃない。あなたの言う"勘"を信じられると思う?」
「ッ……それは……」
サクラちゃんが言い淀む。
これはどんどん空気が悪くなっているんじゃないか。
「サクラ、あなたなんでそんなに簡単に人を信じるの?くノ一の才能ないんじゃない?」
少し棘のあるその言葉に、サクラちゃんはハッと目を見開いて固まった。何か言おうとしているようだが、驚きすぎて言葉になっていない。
山内さんも山内さんで、自分が言った言葉にショックを受けているようだ。
「おい、今のは流石にないだろう」
「俺たちのことは何と言ってくれても構わない。だが、サクラはお前の親友だ。今のが親友に向ける言葉か?」
彼女の発言を咎めた文次郎さんと留三郎さん。
彼らとしては、いつも委員会の後輩にする指導と同じような感覚なんだろう。
でも、今この状況では……
「ちょ……あなた方は黙っていたほうが……」
「なぜそこまでAを信じられない?」
止めようとした私の言葉は、彼らに届くことはなかった。
「ッ……うるさいっ!!」
数秒後、その場に響いたのは怒りと悲しみが混ざった山内さんの怒号だった。
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受験近いんですが、どうしても書きたくなったので久々の更新です。
久々だから文章力落ちてるかも……笑
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時