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142話 ページ21

「え?アキちゃん、なんでここに……」


そこに立っていたのは山内さんだ。

サクラちゃんを追いかけてきたのだろう。

しかし、当のサクラちゃんは気まずそうに目を逸らす。


「さすがに言い過ぎたかと思って探しに来たんだけど……やっぱり、私の言ったことは間違ってなかったのね」


悲しそうにそれだけ言うと、辛い現実から目を逸らすように、すぐに背を向けて立ち去ろうとする。


「あ……アキちゃん……」


サクラちゃんは引き止めようとするも、弱々しい声しか出ない。

そんなことをしている間にも彼女の背中はどんどん遠ざかっていく。


『……このままでいいんですか?サクラちゃん。山内さん、行ってしまいますよ』

「……そんなの、だめ……!」


私の言葉にそう返した彼女は、大きく息を吸い……


「アキちゃん、話を聞いて!お願い!」


山内さんに向かって叫ぶ。

普段の彼女からは想像もできないような大声に、誰もが目を見張り、山内さんは驚いてこちらを振り返った。

しかし、またすぐに目を背け、歩き始める。

ああ、何もできない自分がもどかしい。

そうイライラしているときだった。


「アキちゃん。サクラちゃんの話、最後まで聞いてあげて。俺が言えたことじゃないかもしれないけど……」

「私たちも、お前に言わないといけないことがある。一度こちらへ来てくれないか?」

「アキちゃん……!」


尾浜さ……じゃなかった。

勘ちゃんと三郎くんが助け舟を出し、サクラちゃんはもう一度縋るように彼女の名前を呼ぶ。

すると、彼女は大きくため息をつき、黙ってこちらに歩いて来た。


「……行けばいいんでしょ、行けば」


やけになったように、こちらに聞こえる声で言い、サクラちゃんの目の前まで来て止まった。


「……何?話って。これからは天女と仲良くしますとかいう話だったら聞かないわよ」


山内さんがそう言うと、サクラちゃんは、傷ついたような表情になる。

それを見た兵助くんが


「お前にも事情があるのかもしれないけど、そこまで言う必要ないだろ」


と少し強めに反論した。

しかし、彼女は怖気付くことなく、五年生を横目で睨み、こう言い放った。


「あんたたちはもっと何?私たちにしたこと、忘れたの?」


そして、今度は五年生の問題は五年生が片付けるべきだと思っているのか、ずっと黙っている六年生にも目をやる。


「先輩方もですよ。今さら言い訳なんて聞きたくない」


……許す気はさらさらなさそうだ。

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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/  
作成日時:2022年4月25日 22時

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