141話 ページ20
無事に仲直りが成立し、河野さんは私の方に向きなおる。
「天女様……は失礼だよね。Aちゃんって呼んでもいいかな?」
『はい。好きに呼んでください』
「それじゃあ、Aちゃん。本当に色々とありがとう」
『いえいえ。私としても前の天女の爪痕が残っているのは気分が悪いですので。それに、私は少し助言をしただけですよ』
そう言うと、河野さんはほっと胸をなでおろしたあと、少し迷うような表情になる。
「あの……もしよかったら私のことも名前で呼んでくれないかな?」
そういえばそうだ。
いつまでも名字なのも堅苦しいかもしれない。
『そうですね……では、サクラちゃん、でしょうか』
そう答えると、彼女はパッと顔を輝かせた。
「嬉しい……!これからも仲良くしてくれると嬉しいな、Aちゃん!」
『ええ、もちろんです。よろしくお願いします』
「あ、サクラちゃんずるい!俺のことも名前で呼んでよ、Aちゃん」
『う〜ん……まあ、いいですよ。勘右衛門くん……でいいですか?』
確認するが、彼自身は納得していなさそうな顔だ。
「なんか違う……そうだ!勘ちゃんって呼んでみて」
『勘ちゃん……ですか?』
自分で呼んで恥ずかしくなる。
だが、本人は満足そうにニコニコしている。
『はあ……分かりましたよ、勘ちゃん』
そう答えると、他の五年生が次々に自分も名前で呼んで欲しいと言ってきた。
『えっと……兵助くん、雷蔵くん、三郎くん、八左ヱ門くん、ですね』
そう呼ぶと、彼らもとても嬉しそうにしているが、名前呼びの何がそんなに嬉しいのか全く分からない。
というか、五年生が名前で呼んでほしいと言ってきたなら、もしかしたら……
「「「A!俺たちのことも名前で呼べ!」」」
ほら来た。
案の定、六年生の潮江さん、食満さん、七松さんの3人が同時に全く同じセリフを言ってきた。
……あなたたち、いつも喧嘩してますけどちゃんと話せばすごく気が合うと思いますよ。
善法寺さんと立花さんも黙ってはいるが、呼んで欲しそうな顔をしている。
……中在家さんに関しては分からないが。
『……文次郎さん、仙蔵さん、伊作さん、留三郎さん、小平太さん、長次さん。……これでいいですか?』
そう六年生の方を見ると、少し離れたところに立ち尽くす誰かがいた。
「サクラ……」
やっとのことで声を絞り出す彼女の視線は、まっすぐサクラちゃんの方を向いていた。
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時