140話 ページ19
「……私ね、みんな信じてもらえなかったのが本当に辛かった」
そんな言葉から始まり、河野さんはゆっくりと自分の気持ちを話していく。
「信じてたんだよ、あなたたちのこと。だけど、そんな都合よくいかなかった。………それで、あの日、"あの事件"が起きた」
私も、彼女に詳細を聞いた。
それは、彼女がしてもいない罪を被らされた事件。
くノ一の五年生が、心に一生消えない傷を負った日だ。
「私が今まで築き上げてきたものが、あの日全て崩れた。それでもすぐに元に戻ってくれるって信じてた」
ああ、これ以上聞きたくないと思ってしまう。
ただ、そんな私の思いとは裏腹に、彼女は淡々と続きを話す。
「でも、結局は天女様に操られたままで……。今なら、分かってくれるんじゃないかな。あの時、私たちがどんなに苦しかったか」
悲しそうにそう言う彼女に、五年生でなく、六年生までもが顔を歪めて辛そうな表情だ。
「あなたたちにやられたことはそう簡単に許せない。だけど、私たちは前に進んで行かなきゃいけない。
……だから、もう気にしないで。優しいみんなに戻ってくれただけで十分だから」
そう言い切った彼女は言いたいことをはっきりと言えてすっきりしたのか、満足げな表情でにこっと笑った。
しばらく黙っていた五年生だったが、順番に口を開く。
「ありがとう、サクラちゃん」
「お前の言う通り、もう気にしない。が、忘れもしない」
「僕たちはこれから罪を償っていかないといけないからね」
「もう絶対に裏切らない。約束するよ」
「……変わったな、サクラ。自分の意見をはっきり言えるようになってる。すごいな」
竹谷さんの言ったことはもっともだと思う。
最初は山内さんの後ろに隠れてばかりだったのに。
人間は短期間でこんなに変わるものなのかと感心している。
「それなら、これで仲直り成立……かな?」
そう言うと、彼女はまたにっこりと笑った。
とても素敵な笑顔だった。
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今まで更新が遅かったくせに急に1日に3話も更新して、びっくりしている人もいるかもしれないので、話しておきます。
私は今年から受験生です
3月の中旬を過ぎたらスマホを一時的に手放すので、受験が終わるまでほとんど更新できないと思います。
そのため、なるべく話を進めておきたいと思い、しばらくは更新が早くなります。
できればシリーズ五作目に入れたらいいなと思っているので、よろしくお願いします。
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時