132話 ページ11
『で、何があったのですか?』
お茶を出しながら、彼女に尋ねる。
「いえ、なんでもないんです……」
『そんな顔で言われても何の説得力もありませんよ。話したら、少しは楽になるかもしれませんよ』
「でも……」
『私じゃ信用できませんか?なら、山内さんにでも……』
私が山内さんの名前を出した途端、河野さんの顔が曇った。
『もしかして、山内さんと何かあったのですか……?』
そう聞くと、少し間があってから彼女は頷いた。
「……私、きっと今度こそアキちゃんに嫌われました」
正直、驚いた。
あんなに仲が良かったのに、なぜ……
『なぜ、そう思われるのですか?』
「……アキちゃんに話したんです。天女様はそんなに悪い人じゃなさそうだったよって。そうしたら、怒ってる……というよりは悲しそうな顔で『……そう。あなたは私より天女の方がいいのね』って言われたんです」
まさか、私のせいで……?
私が、彼女に関わったから……?
『……ごめんなさい。やはり、私は何もせず大人しくしておくべきでした。そうすれば、あなたも山内さんも傷つくことはなかったのに……』
「そんな……!天女様は何も悪くなんかありません。私は、アキちゃんの恨みを甘く見ていたんです」
ここで初めて、二人が前の天女にされたことを初めて聞いた。
それは、想像を絶する惨さで、正直人間のすることとは思えなかった。
ふらっとなった私を河野さんが支えてくれる。
「大丈夫ですか……?ごめんなさい、こんな話……気分悪いですよね」
『いえ、少しめまいがして……こちらこそすみません』
ついこの間まで仲良くしていた人間に傷つけられる。
しかも、それは操られているからであって本心でやっているわけではない。
『そんなの……そんなの、反撃なんてできないじゃないですか……!』
卑怯な真似をする前の天女にも、一向に謝らない四年生と五年生にも、何も知らないくせに慰めようとした自分にも腹が立って仕方がなかった。
『……私はもうあなた方に関わらない方がいいですね。ごめんなさい、本当にごめんなさい……』
そう言って、部屋を逃げ出した。
部屋の外にはいつの間にか、さっきのメンバー以外もたくさん集まっていた。
「あ、A……」
『私、今はあなた方の顔を見たくないんです。失礼します』
五年生が何があったのか聞きたそうだったが、つっぱねた。
自分がこんなに最低な人間だとは、知らなかった。
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時