124話 ページ2
〜サクラside〜
……いた、天女様だ。
最近、私はアキちゃんに内緒で放課後に天女様の観察をしている。
前に彼女のことを調べたときに、今までと全く違う態度だったのが気になったのだ。
ただ、アキちゃんは何があっても天女様を許さないだろうから、相談することもできず。仕方がないので、町に用事があるとかなんとか嘘をついて、たびたび木の上からこうして見ている。
今日も天女様は事務員の仕事中。
最初は演技かと思っていたが、誰も見ていないような時でも変わらず真面目にやっているのだ。
「うわああ!」
その時大きな悲鳴が聞こえてきた。
「何、この声……。小松田さん?」
大方、喜八郎くんが掘った落とし穴に落ちたとか、その辺りの理由だろう。
天女様は一瞬顔を顰めたあと、すぐさま悲鳴の方向へ駆け出した。
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見失ってしまうと観察ができないので、慌ててついてきたが、ここで何をするつもりなのだろう。
「……もしかして、穴に落ちた小松田さんを冷やかしにきた……とか?」
ありそうな話だ。
言うだけ言って助けてはあげないというのが、今までの天女様のお決まりだったから。
その時は、私が助けてあげなきゃ……
『大丈夫ですか?小松田さん。すぐに引っ張り上げますから、待っていてくださいね』
そう言うと彼女は、そばにあった木になぜか持っていた縄の一方をくくりつけ、もう一方を穴に垂らした。
小松田さんは、その縄を伝って登ってくる。
「Aちゃん、ありがとう!助かったよ〜」
『……まあ、もう慣れましたから大丈夫ですよ』
ええ、天女様が小松田さんを助けるなんて……
しかも、さっきの会話からして、今までも何回か助けているらしい。
「ますますわけが分からなくなってきたな……」
観察することでかえって分からなくなるなんて、初めてだ。
当たり前のように前とは全く違う行動をする天女様。
彼女を信じきっている忍たまや小松田さん。
怯えているくノ一教室の後輩たち。
彼女の味方なのか私たちの味方なのかよく分からない山本シナ先生。
彼女を信じてきてはいるものの、まだ様子見といった様子の先生方。
そして……
彼女を許さず、一貫して冷たい態度を取り続ける私の大親友。
もう、誰を信じればいいのか、分からなくなってきた。
そんなモヤモヤした思いを抱えながら、帰路についた。
この「天女様の観察」という行為が、私にとって大きな災いの種になるとも知らずに。
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時