松野家三男やってます。8

○ ページ8

*



｢………｣



｢チッ…｣



同様に真顔で見るカラ松にトド松は苛立ちを感じて舌打ちをした。



ｰｰｰｰｰｰｰｰ



ストーブが切れた中、部屋は静寂に包まれている。



｢(おい…行けよ…。誰が行けよ。音が鳴っただろ？)｣



｢(灯油が切れた…。お前ら気付いてるだろ)｣



｢(いやいや…こうしてる時間が無駄だからさ。
結局は誰かが行かないとダメなんだから)｣



『(なんで誰も動かないんだよ…！)』



｢(てかさー、ニートの分際でこれぐらいの労力惜しむってどうゆうこと？
ホントダメ人間だよね皆〜)｣



上から、おそ松、一松、チョロ松、ハイ松、トド松の順番で、
誰かが灯油を入れてくれるのを密かに待っていた。
しかし、誰も行かずに時間だけが過ぎていき、殆どの人の苛立ちが感じられていた。



｢(クズ達は早く行け！)｣



｢(皆子供？早く行けって)｣



｢(行って)｣



『(行ってよ！)』



｢(だから行ってよ〜！)｣



『｢｢｢｢(早く…！！！)｣｣｣｣』



五人の視線は一気にカラ松の方へと集まっていく。
中々行かないカラ松に五人は苛立った様子で見ていた。



｢(いやなんで俺なんだよ！可笑しいだろ！？見るなこっちを！！
てか昨日も一昨日も俺が入れに行った！今日は絶対に行かないぞ！！)｣



『｢｢｢｢(はあ？)｣｣｣｣』



五人からの視線に耐え切れなくなったカラ松はこたつの毛布で顔を隠し、
五人は思い切りカラ松を睨みつけていた。



｢(フッ…俺は今まで皆のためを思って灯油を入れていた…。
しかし気付いたんだ。行き過ぎた愛は時に人をダメにする。
敢えて突き放すことも必要なのだと。

ブラザー？今宵は愛故の放置。
灯油を入れないことがこのカラ松の愛の全てだ)


あっち！？あ、あっちぃ！！！｣



｢あ、ごめん！｣



何故か決め顔をするカラ松に何を思ったのかトド松がなんとかして
カラ松を灯油に行かせようと思ったのか、
ポットのボタンを押してカラ松の手に熱湯をかけた。

いきなりかけられて慌てて手を離して涙目で息を吹きかけるカラ松にトド松は軽く謝った。
(恐らく…否、絶対に悪いと思っていない)



｢(ブラザー…！そんなことをしても今日は一歩も引かんぞ…！)｣



｢(あぁ？んだよ、珍しく頑なだな)｣



｢(チッ…計算が狂った…)｣



カラ松が折れて灯油を入れに行くと思っていたおそ松と一松は不快そうにしていた。

○→←○灯油

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