151 今だけ胸かしてね ページ11
「いやぁ、きみの命を一度ならずとも二度も生き返らせることになるとはねぇ」
病院のベッドの上で目が覚めると、ピトーにやられた傷を縫ってくれたお医者さんが感涙していた。どうやらまたわたしは運び込まれたらしい。記憶がほとんどない。どんだけ殴ったんだ、イルミさん。ゾルディック家をお邪魔したときに比べて、多少は成長していたつもりなのに。想像していた以上に彼は高い壁だった。
「………ッのバカ！！！！！」
病院の中を駆け回りお見舞いに来てくれたレオリオの第一声はそれだった。それだけのことをしでかした自覚はある。ゴンがあんな状態なのに手前まで生き急いでんじゃねえってな。
「お前の意識が戻ったって聞くまで、オレがどれだけ肝を冷やしたか……！」
「ごめんごめん」
「クソ！誰にやられたんだ！？」
「……きれいなお兄さん」
「はあ？」
「ケンカをふっかけたらいけない相手だったわ。レオリオもタイマンはるときは選ばなきゃね」
「ちょっと会わないうちに何があったよ……」
どうやらトリップ特典のGも真っ青な生命力は未だに健在らしい。少し休んでいるうちに骨はくっついた。ヒソカから「イルミとケンカしておいて五体満足な人間は初めて見るよ◇」とメッセージが来ていた。たぶん手加減してくれたのもあると思う。
「キルアは？」
「パドキア共和国を出て、こっちに向かってるらしいぜ」
「そっか……」
「オレじゃ不満かよ」とからかってくるレオリオの顔を見ていると何だか泣けてきた。止めようと思っても次から次へとあふれてくる。呼吸をととのえようとするとかえって喉から変な音が出た。ぎょっとするレオリオの胴体に抱きつく。彼は困ったように宙で手をさまよわせたあと、わたしの頭にそっと置いた。
「……終わったのか？」
「……終わるんだよ」
「キルアに振られたらレオリオのところで泣く」。そういう約束だった。根のやさしい彼は、「たかがガキの恋愛だろ」ってバカにしたりしなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1094人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま - 一気に読み切ってしまいました！楽しかったです！途中感情移入して泣いちゃうとこもありました笑更新楽しみに待ってます！ (4月16日 21時) (
レス) @page39 id: 46b1d29c13 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - あなたの書く文章が大好きです。 (12月22日 11時) (レス) id: 5b13a1df84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます。 (9月2日 23時) (レス) id: fdd6e06bf4 (このIDを非表示/違反報告)
こもれび(プロフ) - 有希さんと好みが似ているのか、好きなキャラや印象で近しいものが多くて共感しまくりです。こちらの作品を詠ませて頂くのは多分これが3度目なのですが、性懲りも無く毎度同じ場面で泣いてます。顔面が涙でぼろぼろです。言葉巧みな表現が大好きです。応援しています。 (2022年12月28日 4時) (レス) @page39 id: 4d4f4ab205 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる-ameizumi(プロフ) - 今出ているところまで読み切りましたがとて好きな文章構成や内容で、ところどころでほんとに泣いてしまいそうでした。終わりが見えてきそうですが最後まで応援しています。 (2022年12月23日 0時) (レス) id: 5d2780f034 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有希
| 作成日時：2021年11月14日 16時
