150 レディ、ファイッ!! ページ10
「ほんとうにキルアと別れるんだね?」
話を切り替えたヒソカがこつこつとテーブルを指で叩く。じっと顔を見てくる。わたしに何かを促すみたいに。居心地がわるくて視線をそらすと、カウンターの中でバーテンダーがグラスを磨いているのが目に入った。
「……好き合っているだけじゃ、どうにもならないときもあるでしょ」
ふふ、とヒソカが笑う。わたしの言葉を鼻で笑うような、ちょっと気に障る笑い方。
「何?」
「いや、きっとこの騒動がなければ、キミたちは呆れるくらい一緒にいたんだろうなって♤」
「それは……わからないよ。わたしとキルアにさえ」
わたしをなぐさめるみたいに、ナッツを剥いて食べさせてきた。ヒソカにあーんされる日がくるとは。さて、とイルミさんが腰を上げて「ヒソカ行くよ」と顎で促した。行かせないよ。
「……アリクイの威嚇のポーズ?」
「違います。行く手を阻んでいるんです」
「どうして?」
「イルミさんは己の目的のためなら、ゼノさんと違って周囲を巻きこむタイプでしょう。だから、止めます。やっと傷も癒えたところだし」
「オレはそういう念能力だって知ってるだろ?」
「念能力ではありません……心の問題です」
「なに?オレと殺り合う気?」
「めちゃめちゃ気が進みませんが……必要とあらば」
「へえ。まさか今日になるなんてね。オレがAを殺す記念日」
「記念とは……?」
わたしたちの間でバチバチと視線が行き交う。ヒソカが感じたようなため息を漏らしてから「殺したら許さないよ♤」と忠告した。
「飛行船を途中でおりて場所を探そう◇そこで思う存分ぶつかり合うといい♧イルミもちょっとくらいはいいだろ?」とか何とか、ヒソカがあれよあれよと手を回してくれちゃって、気がつくと荒野に立っていた。怖いよ、恐怖だよ。
イルミさんはどこにそんなに隠し持っていたのか、大量の針をヒソカに渡した。「簡単に死なれちゃ嫌だからね」って。どうやら素手の殴り合いになるみたい。死なない程度に時間稼ぎしますか。
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ま - 一気に読み切ってしまいました!楽しかったです!途中感情移入して泣いちゃうとこもありました笑更新楽しみに待ってます! (4月16日 21時) (レス) @page39 id: 46b1d29c13 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - あなたの書く文章が大好きです。 (12月22日 11時) (レス) id: 5b13a1df84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます。 (9月2日 23時) (レス) id: fdd6e06bf4 (このIDを非表示/違反報告)
こもれび(プロフ) - 有希さんと好みが似ているのか、好きなキャラや印象で近しいものが多くて共感しまくりです。こちらの作品を詠ませて頂くのは多分これが3度目なのですが、性懲りも無く毎度同じ場面で泣いてます。顔面が涙でぼろぼろです。言葉巧みな表現が大好きです。応援しています。 (2022年12月28日 4時) (レス) @page39 id: 4d4f4ab205 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる-ameizumi(プロフ) - 今出ているところまで読み切りましたがとて好きな文章構成や内容で、ところどころでほんとに泣いてしまいそうでした。終わりが見えてきそうですが最後まで応援しています。 (2022年12月23日 0時) (レス) id: 5d2780f034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年11月14日 16時