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△ 放課後と義照 ページ35













「……ねえ、Aちゃんってば聞いてる?」



 あれ。わたし、寝てたの。底から浮かび上がるみたいにして意識が覚醒する。何度かまばたきすると
目の前にいる相手の顔がようやく形になってくる。ストレートの黒髪に二股にわかれた眉毛。ちょっと猫背気味の高い背と、やさしそうな目元がアンバランスでかわいらしい。



「……義照」



 名前を呼ばれた彼は「やっと起きた」と、ため息をついた。そうか。わたしと義照、我妻義照は、クラスの新聞委員会で、放課後に仕事を終わらせようとしていたんだっけ。長い夢を見ていた気がする。



「まだ途中なのに、Aちゃんたら、居眠りして」

「ごめんごめん。何の話だっけ?」

「何で俺モテないんだろって話だよ」

「……くだらね」

「そんなこと言わないでよッ!俺って背高いし、女の子にやさしいし、声でかいのに。何がダメなのかなぁ」

「……モテてるよ、たぶん。義照が気づいてないだけで。ひとりくらい好かれてるって」

「えー?どこにいんの、その子」

「善照の目の前に」



 義照はポカンとした。大きな目を一層大きくして、ワイシャツからのぞく首をうっすら赤らめている。



「……俺は騙されないよ……反応が面白いからって、からかってるんでしょ?」

「そう思っててもいいけど」

「もう!!Aちゃん!!」




 あー面白い。がらりと教室のドアが開く音がして、義照と振り返る。そこには燈子ちゃんがいて、
「まだその仕事終わらないの?」って呆れたみたいに聞いてくる。今日はこのへんにしようか。わたしたちはリュックを背負って廊下に出た。



「帰りにアイス食べて行こうよ」

「いいね、義照も行くでしょ」

「俺がバイト始めたからって、こういうときだけ呼んで!奢らないぞ!!奢らないから!!!」



奢ってもらった。






 駅に向かう秘密の近道はわたしたちの暮らすところを一望できる。今日は星がきれいだ。こうしてわたしは何か忘れて、忘れたことすら忘れて、三人でパピコしながら、家路をいそぐ。

△ 鳴神の→←△ 上の名前が我妻になるまで



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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