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△ 上官命令無視全力疾走 ページ33

「ところできみは、例の竹林に出る鬼を倒しに来たのか?」

「そうですけど」

「手を退け!」



おおばっさり。この喋り口はいっそ聞いてて気持ちいい。



「十二鬼月がいるかもしれんとの情報だ!俺は東海地方の任務を任されたので、この町を出ていくが……適任の柱がコッチに向かうそうだ!だから手出しをするな!上官命令!」










 煉獄さんが定食屋から出ていったあと、のったりと店から出た。待っていたカラスが肩に飛びのってくる。



「今夜の予定は?」

「鬼を倒しにいく」

「煉獄さまに止められていても……そこに十二鬼月がいるとしてもか?」

「うん」

「怖くないのか?」

「んなわけないだろ。怖くてたまらん。今だって指先が震えている。いや。いやだよ。とてもいや。何でわたしがこんなこと任されなきゃならないの、って思う。煉獄さんに言われた通り手を退きたいよ。でもさぁ……」




 わたしは定食屋に行くときこの町の至るところで地面にすがりつくひとを何度も見かけた。そのひとの自分より大切なひとが横たわっていた場所に、うずくまって泣いていた。ううう。ううう。あまりに悲痛な泣き声に責められているような気がした。
どうして助けてくれなかったの、何のために刀を振るってるのよって。


 わたしが柱を待ってるうちにきっとその泣き声の数は増える。それにこの任務にあたる柱が義勇さんなら、彼はまた自分を責める。俺がもっと早く来ればよかったのにって。それは、ここで戦うことよりよっぽど恐ろしい。



 煉獄さんがせっかく案じてくれたけど、ここで動かないなんて、善逸の横に並び立つ女としてはふさわしくない。わたしは善逸とは違って、人の役に立ちたいとか思えないけどね。本当はどうにか楽しよう、損する役は他人に押しつけよう、相手から好いてもらおう……そういうことに囚われて、いつだって自分がかわいい。そんなわたしだけど、そんなわたしなりに、いつもこうやって足掻いてる。

わたしは日々努力するの。善逸のお嫁さんになるために。



「お前はいい女だよ」とカラスが鳴いた。

△ 上の名前が我妻になるまで→←△ 煉獄さんと蛇使い座



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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