△ あとは式をあげるだけ ページ25
「鳴神の
少し
さし曇り
雨も降らぬか
君を留め」
雷がちょっと鳴り響いて、雨が降らないかな。
そうすれば、あなたをここに留めておくことができるのに。
△
夏の日の午後にじいちゃんに呼ばれて渡されたのは△柄の着物だった。善逸のものより淡い黄色で、すごくかわいい。色違いとかカップルじゃん。
カップルだった。
じいちゃんが「着てみせてくれ」って言うから、ひとつ返事でリクエストに応じた。雷一門のアイドルだからね。雷の呼吸、元鳴柱の弟子のしるしを身にまとうと背筋が伸びる気がした。
「じいちゃーん、俺のフンドシ見なかった?……ってキャアアアアAちゃん!!??」
「どうかな?」
「かわいい!!しんどい!!日本一!!さすが俺のお嫁さん!!!」
お嫁さん、ね。言葉がトリガーになって、七夕の会話が思い起こされる。「むかし善逸が短冊に『家族がほしい』って書いてたんだ。ワシはアイツがまじめに修行したらカステラもうな重も与えてやる。
だけどそれだけはを用意することはできなくて、どうすればいのか、わからんかった」
もしわたしが、この時間軸よりずっと前、善逸が生まれて間もない頃にトリップしてたのなら、と思った。親御さんが善逸を捨てようとしたときに、何かできたかもしれない。救ってあげられたのかもしれない。そしたら善逸はじいちゃんに拾われないことになってしまうけど。
「だからな、Aが結婚してやってくれないか」
「は?」って言っちゃった。睨まれた。謝った。
「だから、Aが結婚してくれ。善逸と。アイツのずっと欲しかった家族ができる。Aもそのつもりじゃなかったのか?」
「うん……そう、そうなんだけど」
まさか善逸を本当の孫みたい愛しているじいちゃんからそこまで言われるとは思っていなかったからさ。
「ロクでもない女だったら突っぱねてるが、Aならいい。いやAがいい。お前しかいない。善逸のことをよろしく頼む」
そうわたしに頭を下げてくるじいちゃんに、わたしは同じように頭を下げた。こちらこそ。
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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時