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△ ダブル推し柱 ページ16

「……生きてる」


「そうですね、あなたは生きてます」



 血気術のロープで逆さまにつりさげられたまま呟くと返答があった。首をひねると、わたしの命の恩人とちょうど視線がかち合った。蝶の光彩みたいな瞳だ。ゾッとするようなうつくしいひと。



「いいですか。今度はこうも、奇跡的に助けが来ると思わないでくださいよ」

「……はい」



 推し柱がわたしのロープをほどいてくれている間、後ろで義勇さんがボーッと突っ立っているのが見えた。凪いだ海を閉じこめた瞳にすずやかな目元。くちびるはお人形さんみたいにキュッと引き結ばれていて、いかにも日本の美青年って感じだ。お顔がひじょーにタイプ。



「まったくもう、一体どうして、鬼狩りにもなってないヒヨッコひとりで、こんな山に入ったんですか?」



 そりゃあ霹靂一閃きめてみたくて。那田蜘蛛山のときの善逸に憧れて、いけるかな、と。楽観的なところがチャームポイントなわたしは鬼がいるという噂を聞きつけて、ノコノコと鬼の巣窟に入っていった。で、この状況。かたなに口を開こうとしないわたしに、とうとうしのぶさんが折れてくれた。もう夜が明けますからね、と。



「この御恩は忘れません。お名前は?」

「胡蝶しのぶといいます。そして向こうでボンヤリしてるのが冨岡義勇さんです」

「しのぶさん、今度ご飯いきましょうよ」



 帰り際に口説いてみた。しのぶさんはポカンと口をあけていたけど、急に呆れたように笑い出した。


「もちろん、義勇さんも」


 急に話をふられてビックリしたような顔がかわいかった。義勇さんまで口説き出すわたしに、「あなたには敵いませんね」と、肩をすくめてみせた。





 そうしてコソコソと戻ってきたわたしが自分の部屋に向かうとすると、明かりのついた居間からぬっと人影が現れた。


「ぜ、善くん何で」


 善逸は答える代わりに耳を指さしてみせた。そうか。きみにはどんなこともお見通し、いや聞き通しだったね。


「どこ行ってたの?」


 わたしは答えられなかった。時計の振り子が揺れる音がやけに大きかった。コチコチと無機質に、わたしたちの夜を刻む。

△ もっと俺を騙してよ→←△ いけないことをしようか ※



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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