△ いけないことをしようか ※ ページ15
善くんは赤い顔のままわたしを睨んだ。「Aちゃんの心臓、ドキドキうるさい」って。ごめん。
「そんなにこわがってるくせに、試すような真似しないでよ。俺わかってるよ。経験、俺と一緒でないんでしょ。こわいのに、そんなに心臓は騒いでるのに、平気な顔して、俺を誘うなんて……なにがしたいの。手を伸ばしてもいいの？」
「いいよ、触って」
「……なんで」
「善逸になら何されてもいい」
「……初めてはすごく痛いって聞くよ」
「そうだね。だけど耐えられる。相手が善逸なら」
気がつくと天井を見つめていた。押し倒されて、獲物にたかる肉食獣みたいに善逸が覆いかぶさってくる。下着をぜんぶ奪われて、わたしの生白い身体が善逸の目の前に晒される。ごくりと生唾をのみこむ音がした。わたしの胸やお腹をおっかなびっくり触るからくすぐったかった。そんなにやさしくしなくていいのに。
だけどやさしかったのは途中までで、いざわたしの中にそれを入れるとやさしくなくなった。二つの身体が溶けあって一つの生物になれそうな行為に、善くんはすぐに夢中になった。生まれついたときから親がいなくて、何をしていてもどこにいても胸のどこかにずっと居座っていた孤独感が、こうしていれば少しはマシになると気づいたらしい。タバコや酒に溺れた中毒者みたいに善くんは体重をかけてわたしの肉を押しつぶしながら腰を振った。
「Aちゃん、Aちゃん、おれのAちゃん」
善逸の耳元にくちびるを寄せて、あっアッと声を大きくしてやる。そうすると彼の耳たぶがうす赤くなって、動きが速くなる。うるさい心拍音と、もうずっと善逸を呼んでいる心と、喉からもれる声で、わたしの音を全部、その優秀な耳に染みつける。きっと今日の夜にも鮮明に思い出してしまうと思う。ひとりきりの布団のなかでも熱がさめなくて、Aちゃんのせいだ、ってわたしを責めるんだろう。
そんな善逸の姿を想像するのは気分がいい。
雨は、止まない。
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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (
レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー！😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて！今すぐ読んできます！あ、この作品めっちゃ良かったです！好きです！(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2019年10月4日 22時
