120 物は言いようだもんね ページ27
かくしてわたしたちは勝利をおさめた。あとは思いきりパーティーを楽しむだけ。わたしは壁にもたれて様子を眺めた。そうして、このあとのことを考えていた。キルアのこと。蟻のこと。カイトのこと。
それにしても適当にもらってきたジュースがおいしい。アルコール入りだからかな。「よう」って声をかけてきた相手はキルアだった。カラフルな花の首飾りをつけてるのが、似合わなくて可愛い。
「キルアとダンスしたのを思い出すよ」
「何回もオレの足踏んできたよな」
「指圧だよ。マッサージしてあげたの」
「指圧だったのか……」
そのときダンスミュージックがふつりと止まった。何やら人だかりができていて、わたしたちも野次馬しに行く。見ると、顔色の悪いピアニストが席を外すところだった。グリードアイランドを攻略したヤツがマジで現れるとは思っていなかったのか、二日酔いしたまま来ちゃったみたい。おいおい。せっかくゴンたちを祝うパーティーなのに落ちつかない空気になってくる。せわしなく代理のピアニストを探そうとスタッフが駆け回り、客の顔に不満が現れてくる。このまま台無しにさせたくはないな。
「え？A……」
ピアニストをロビーにまで運んでくれたゴンの横をすり抜けて、上質そうな椅子に腰かける。すごく久しぶりだから自信はあまりないけど……目を閉じて鍵盤のうえにそっと手を置いた。確か始まりはやさしいアルペジオから。発表会のために何百回と弾かされたピアノは指が勝手に覚えてくれていた。音の雨みたいなこの曲が、わたしは好きだった。
「すごい……」
隣でビスケはぽつりとつぶやいた。ありがとう。わたしは手が小さいから、離れたところを同時に押したりするのは苦手で、たまに変な音が混ざってしまうけど、骨ばった手が横から伸びてきて失敗をカバーしてくれる。音を重ねて和音をつくる。ゴージャスに聞こえても単純なフレーズの繰り返しだってこと、わかっちゃったみたい。初めて聞く曲にもすぐに合わせられる技術、まったく恐ろしいダーリンだぜ。
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ちーちゃん - わざわざお返事ありがとうございます！完結まで楽しみにしています！ (2021年11月14日 17時) (
レス) @page49 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - ちーちゃんさん» ちーちゃん、コメントありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります！次章もよろしくお願いします！ (2021年11月14日 16時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - 更新嬉しいです！また頑張ってください！ (2021年11月10日 15時) (レス) @page9 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - yuriori12911さん» コメントありがとうございます。いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。ご連絡ありがとうございました。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。早とちりして申し訳ありませんでした。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2021年7月16日 18時
