ウエゴコロシタゴコロ【wrwrd!】 (ページ20)

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黙ってkissしてその後は【らん】ページ20

今日も元気だ社畜がひどい!!

「あーキツイ、さすがに週の半分終電間際ってキツイわー」
「終電で帰れるだけましなんじゃね」
「それな」

地獄の決算期を抜けた先は、さらなる地獄の年度初め。泣くぞほんと。
アーやらウーやら言葉にならない声で呻きながら、終電を待ってる。
ゾンビ化して項垂れた口から垂れ流されるゴミのような言葉。

「あーしんどい、会社辞めたい……むしろマリモになって沈んでいたい」
「それな」

ゴミのような言葉に反応してくれるやつがいるだけで、ホント救われるのだよ。
同期のコイツが、ヒトランが一緒でよかった。
うむうむと、感慨に浸っていると頭を軽く叩かれた。

「おら。電車様のおなりだぞ」
「……ういーっす。てか叩かないでよ脳みそ流れ出るわ」
「キモいこと言うな」
「さーせん、ホラー耐性マイナスのヒトラン先輩」

ひたひ、蹴られた。
お尻を軽くなでながら乗り込み、隣で一息。
数駅で、まばらにいたゾンビ社畜どもはそれそれの穴蔵へ帰り、酔っぱらいの寝こけたおっちゃんと私らだけになった。

グッバイ社畜、良い夢見ろよ。

疲れてるのにくるくる回る頭は、アホな思考を増産する。
何だこれ、ランナーズハイか？
ヒトランはずーっと目をつむっていて、私だけハイってやつだ。正直オモロクない。
だから、魔が差した。

耳をヒトランの口元に近づける。OK寝てますな。

『隊長!! 敵はすっかりオネンネです、やるなら今でしょ!!』

迷彩装備で顔を汚した某講師が勇ましくがなる。

『はやるな若造、慎重かつ大胆にだ』

偉そうなチョビ髭の私が手で軽く制する……なんだコレ。

続きそうな脳内茶番を強制的にシャットアウトしてみた。
ホントなんだコレ。
軽く頭を振り、某講師がわぁ〜と間抜けに落ちていく妄想を振り払いもう一度確認する。

寝てる……。

スイっと鼻をつまむ。起きない。
唇をつまむ。起きない。
眼鏡を頭にズラす。起きない。
頬にKissをする。起きない。

ここまでくると意地だ、なにがしたいのかもう良く分からないけど。
頭の中に生還した某講師も叫んでる『今でしょ!!』……それはもうええわい。

唇にkissを落とす。起きない。

かまえよ、つまらん。

ぼやける極近な位置で眉にシワを寄せてたら、ガッと頭を掴まれて、ガッとKissされた。

「ビックリするから寝込みはヤメテ」

吃驚したの私ですから。
勢いありすぎで歯が当たったわ、kiss下手か。
なんて言葉の代わりに優しくKissした。