【wrwrd!】深く長く、愛を吐く (ページ36)

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lapis lazuli【ut】ページ36

1月22日。
今日は私にとってただの平日ではない特別な日。

恋人の誕生日だ。

でもお互いに社会人である私たちにとっては、日付が変わる瞬間に『お誕生日おめでとう』『ありがとう』とやりとりするくらいが精一杯で。今日の朝もいつも通りお弁当を作り、いつも通り朝食を一緒に食べ、いつも通り私の方が先に出勤した。…お誕生日仕様で少しだけ豪華にしたお弁当には、果たして気付いてくれるだろうか。

いつも通り所属部署内で一番に会社に着き、事務所にある電機ポットと加湿器に水を入れる。それらの仕事が終わったところでやっと落ち着いてデスクに座り、携帯の画面上にある青い鳥のアイコンをタップした。トレンドには『#鬱先生誕生祭2021』の文字。数えきれないくらいたくさんのイラストにお祝いの言葉。私に向けられたものではないのに、自分のことのように嬉しくなってしまうのはなぜなのだろう。恋人が多くの人に愛されているということがこんなにも幸せなことだったなんて、彼と付き合うまでは知らなかった。

「おはよう、Aちゃん。」
「おはようございます。」

入社以来よくしてくれている向かいのデスクの先輩。

「あれ？朝から嬉しそうだけど何かいいことあった？」

目敏い先輩に『金曜日だからですよ』と笑う。これだってあながち間違いじゃない。

「今週長かったからね～やっと華金だよ～。」
「そうですね、長かったですよね～。」
「仕事終わりに飲みにでも行くの？」
「いえ、すぐ帰ります。」

『家でお祝いの準備をしなければいけないので』とは言わず、家でゴロゴロするのも最高に幸せだよね…と笑う先輩に合わせて相槌を打った。