【wrwrd!】深く長く、愛を吐く (ページ15)

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はんぶんこ【ut】ページ15

私には双子の姉がいる。
一卵性で、顔もほとんど一緒。
私よりほんの数分、先に生まれただけ。
なのに姉。なのに長女。
まぁ、そこは気にしてない。
実際に姉は長女にふさわしく、優秀だししっかり者だ。
それに比べて私は出来損ない。
勉強もできず、要領も悪い。
今思えば、両親はいつも姉ばかり見ていたなぁ、なんて。どうでもいいけど。

だけど、姉は私に優しかった。
何でも半分こにしてくれた。
お菓子も半分こ。おもちゃも半分こ。洋服も半分こ。

「いいよ。半分、Aにあげる。」
「いいよ。Aにも貸してあげる。」

それが姉の口癖だった。
私もそれで満足していたし、それ以上は望まなかった。

高校卒業後、姉は大学へ進学し、私は適当な会社に就職した。
そしてそれに合わせて、二人暮らしを始めた。
そんな生活の中でも『半分こ』は変わらない。

私達が、一緒に暮らし始めて三年目。
姉は大学三年生、私は一年前に会社を辞めてから退職にもつかず、フリーターみたいなことをしていた。
そんなある日、姉は家に男を連れてきた。

「紹介するね、私の彼氏。」
「初めまして、Aちゃん。鬱っていいます。」

幸せそうな姉。そんな姉を優しい眼差しで見つめる鬱さん。

「はじめまして。」

この時、
ああ、半分こにできないものは初めてだ。
なんて思った私は、どこかおかしいんだろうな。

でもね、気付いたの。
お姉ちゃんと私の間で、分けられないものなんてないってこと。
お姉ちゃん、ごめんなさい。
私、お姉ちゃんのものは、なんでも欲しくなっちゃうみたい。