永続的恋愛

35 ページ35

薮さんとのことを話したら『おめでとう』っていのちゃんが言ってくれた。

こんなふうに誰かとの関係を祝福してもらえるのなんて、いつぶりだろう。ていうか初めて？

とにかく照れくさくって仕方なかった俺は、早々にメイクを切り上げた。


『会おうよ、4人で。やまだも会いたがってるんだ』

『山田さんが？』


いのちゃんがこういうことを言うタイプだと思っていなかったから少し驚いたけれど、俺も山田さんには会いたいかもしれない。

いのちゃんのこと、ありがとうと、よろしくって言いたい。


『薮さんも会ってくれるかな…』

『電話してみてよ、今』

『今？なんで』

『薮さんと話してる大ちゃんが見たい』


ちょっとは本音を隠せよ、恥ずかしいよ。

とか言いながら結局あの日から会えていない薮さんに電話をかける。

電話は薮さんが時々してくれるけど、時間が合わないことも多くてすれ違いばかり。

お互い仕事がこんなだから仕方ないけれど、淋しいのは事実だった。

今は、まだ19時。今なら、出てくれるかもしれない。


『もしもし』

『あ、薮さん、いま大丈夫？』

『今ひと息ついたとこ。タイミング良かったよ。どうしたの？仕事前じゃない？』

『あの、時間が合うときで良いんですけど、いのちゃんと山田さんと4人で会えないかなって…』

『山田と？山田今いるよ、ちょっと待って』


おーい、山田ー、って薮さんの後に、はーいって山田さんらしき人の声。

本当に同じ職場に居るんだなって実感した。


『大ちゃん、それってけいくんの提案？山田も知ってたよ』

『あ、そうなんだ。いのちゃんが言ってたけど、俺も4人で会ってみたいなって思ったから…』

『ふーん、そうなんだ』

『あの…だめ？』

『ふふ。ダメじゃないよ。俺と山田の休みが合う日、また言うね』

『うん！ありがと！』

『またメールするよ。仕事、頑張って』

『薮さんも。またね』


電話を切っていのちゃんを見たらニヤニヤしてた。
自分でさせたくせに。

36→←34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す