永続的恋愛

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運命の出会いってやつはどこに転がってるんだろう。

出会った瞬間に分かる、なんてそんなのは信じちゃいない。

でも知り合って、好きになって、この人が運命の相手だって思えたらそれで良いんじゃないだろうか。

これは俺の親友であるいのちゃんが言ったこと。

そんないのちゃんはもう運命の出会いを経験していて、そして、終わっている。







『いらっしゃいませ。お待ちしておりました、鈴木様！』

『大ちゃん、今日も可愛いね』

『鈴木様がいらっしゃるので気合い入れちゃいました』

『そんなところも可愛いよ』


頬っぺにキス、こんなのは欧米式の挨拶だと思えば不快感も何もない。

生粋の江戸っ子である俺はこれに耐えるために面の皮を厚くした。うまい事言ったな、俺。

鈴木様は最近社長さんになったばかり。先代の社長さんに連れられてこのお店に初めて来た時は、俺の隣でぼーっとしていた。

俺の一挙一動に照れて、焦って、謝って。可愛いと思ったこともあるけれど、最近じゃ自ら肩を抱いてくる程に成長した。


『鈴木様、香水変えました？』

『お、よく気付いたね。こんな近くにいたら当たり前か！』

『上品でとってもお似合いです。私も香水付けてみたいけど、香りが多過ぎて悩んじゃうんです』

『大ちゃんはそのままでとってもいい匂いだよ』

『へへ、くすぐったい…香水かぁ。僕に似合いそうな匂いがあったら教えてくださいね』


よし、これでCHANELの香水ゲット。

相手のことを知れば自分のためになる。

ペコペコ頭を下げるだけじゃ手に入らないものが、ここには溢れている。

俺の胸元に鼻を近付けて匂いを嗅ぐこの変態には、ちゃんと奥さんも子どももいる。

俺はこんなやつのことは好きにならない。絶対に。








初恋はもう覚えていないし、歴代の彼氏彼女には興味も未練もない。

俺はずっと心ときめく恋愛に憧れていた。

誰かをずっと一途に想い続ける。

いのちゃんのそんな恋愛に、ずっと憧れていた。

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