思春期 お見舞い ページ10
家族以外も面会できるようになり、私はすぐにお見舞いへと向かった。應治とももちろん一緒だ。
白い壁とアルコールの香りがいかにも病院という感じで、私に緊張感を与える。ついに静稀ちゃんの部屋を見つけ、私は変に力が入った手で重々しくドアを開けた。
「失礼します＿」
「愛華ちゃん！久しぶり、お見舞いありがとう」
ベッドの上からやさしく微笑んで話しかける静稀ちゃんは、まさに綺麗な花のように見えた。
「それにしても、静稀ちゃんが無事回復してそうで本当に良かった。」
「病気自体は全然治ってないんだけどね…二人とも心配させてごめんね。」
「前も、こういうことあったの？」
「察しいいね應治君…まあ、それなりにはあったかな。といっても、ここ数年はこんなに悪化しなかったんだよ」
心配させたくないのか、笑いながらいってる静稀ちゃんを見てより心臓が締め付けられる。今までも悪化していたことがあったなら、気づかなかった私は本当に大馬鹿者だ。今までの自分を私は責めた。
「それよりね、ここの病院の生活すごく楽しいんだよ」
「楽しいって？」
「同い年の男の子がいてね、その子とよく話すんだ」
「へぇ、もしかして、静稀はその子が好きなの？」
「そういう意味で言ったんじゃないよ！？！？」
静稀ちゃんと應治の掛け合いに笑ってしまう。そして、静稀ちゃんに聞いてくるということは應治君は静稀ちゃんのことが好きだということも分かった。静稀ちゃんはかわいいし、もしかしたら私もおうじさまがいなければ好きになっていたかもしれない。これから応援してあげようと決めた。
しばらく三人で話した後、私と應治君は家に帰った。
静稀ちゃんは悪化の再発の恐れからしばらく入院するらしい、私はまたすぐにお見舞いしようと心に決めたのだった。
赤い夕陽に照らされた道を二人で歩く。一応会話は続けるけど、頭には静稀ちゃんのことしかない。
「…静稀のこと、まだ心配なの？」
「うん、元気そうってのは分かってるんだけどね。それでも心配なの」
「大丈夫、静稀は＿君の友達は愛華ちゃんのこと大好きだから、こんなことでいなくなったりしないよ。」
應治君が私の手をぎゅっと握ってくれる。透き通った瞳で見つめられて、手から伝わる体温で、私は『大丈夫』と思えるような気がした。
「うん、ありがとう！應治君」
應治君は、やさしそうに微笑む。
そのまま手をつないで私たちは帰った＿すこし静稀ちゃんに申し訳なかったけど。
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Riruri - シャーロックさん» なるほど、小公女セーラですか…その発想こそなかったですが、言われてみたらそんな気もしてきます。憧れの御方にそう言って貰えるだけでとてつもなく光栄です。オリ小説をもっと増やしてく予定ですので、もし公開した暁には読んでくださると嬉しいです🤭 (5月29日 22時) (
レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - Riruriさん» 愛華ちゃんは私の大好きな「小公女セーラ」に似ています。いつも夢を信じている前向きな女の子は内側から輝くクリスタルのようで魅力的です。Riruriさんの他作品も読みたいのですが、運悪く元ネタを知らないんですよ💦創作についてもっと語り合いたいのに〜 (5月27日 15時) (レス) id: 64edf4e902 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - シャーロックさん» ワワワまさか読んでくださるとは……!!本当にシャーロックさんの文章からお話まで全てが尊敬と憧れの塊なのでそう言っていただけて感激感謝です😫💕愛華ちゃんはとにかく“プリンセス”の精神で書いてます。そこを感じ取って下さって嬉しいです!! (5月27日 14時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - こんばんは！素敵な内容で一気読みしてしまいました。愛華ちゃんの純粋さはRiruriさんの心の美しさが表れているんでしょうね……。王子チャーミーさんが何故喋れるようになったのか、凄く気になっています。更新楽しみにしていますね！ (5月25日 21時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - 襲さん» ありがとうございます〜！何に使うかまだ決めかねていますが…絶対使います！ (2023年1月27日 16時) (レス) id: 3a997f42cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Riruri | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rirurihmp04/
作成日時：2022年3月9日 20時
