優杏様の生まれ変わり【犬夜叉】 (ページ15)

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XV ページ15

「わ、わしは大妖怪であらせられる殺生丸様の右腕なんじゃ！」

必死に自分が馬鹿ではないと訴えて来る。

「邪見って右腕じゃないでしょ。しかも、殺生丸なら右腕なくても全然支障なさそうだし……」

実際にアニメでも左腕をなくしてもすごい強かったし、最後とか新しい腕生えてきたし。あ、そう考えると邪見が切り捨てられてしばらくしたら新しい邪見より優れてるのが来るってことになるな。それ、邪見の立場危うしって感じじゃん。まあそんなことにはならないだろうけど。

「なっ！？」

今度はだいぶショックを受けたようで、開いた口が塞がらなくなってしまったようだ。そして、口を閉じた後も沈んでいた。流石にちょっと言いすぎたかな。私これでも悪気はないんだよね。ただ、つい思ったことをすぐ口にしちゃう癖があって……

「叶夢、そのくらいにしとけ。あの状態では先に進めないであろう」

やっぱり優しい。邪見がいらないなら邪見なんかほっといて先に進めばいいのに、それをしない。殺生丸ってこの頃から優しさあったんだ。ただ、他の人よりそれが小さいだけ、素直じゃないだけ、みんなに優しいわけではないだけ、不器用なだけ。あ、全然だけじゃないな。でも、殺生丸は優しい。

「は～い」

「邪見、行かないのなら置いて行くぞ」

「お、置いてかないで～！」

ふふっ、やっぱりこのやり取りは面白い。少し心が和む。

あれから、1月が過ぎようとしている。邪見とはあれからたくさん話をしていくうちに、大分仲が良くなってきた。殺生丸は相変わらずだけど、私のことを少しは気にかけてくれている。傷は大分治ってきたけど、流石に完治とまではいかない。そういえば、何か忘れてるような……

「ああ～！！！」

私は重要なことを思い出し、思わず大声を上げる。

「なんじゃなんじゃ！煩いぞ！」

一応これでも前よりは仲がいい。

「邪見、お前も煩い」

「す、すみません」

相変わらず面白い。いや、そんなことを考えている場合じゃない！私はどうしようかとそこら辺をグルグルと回る。

「叶夢、何をそんなに焦っている」

「お母さん達に何も言わずに1月近くも消えてたの！」

「なんじゃ、そんなことか」

邪見は呆れたような表情でそう言う。

「そんなことじゃないって！」

「家出してきたんじゃろ？1月くらい普通じゃ」

「家出なんてしてない！どうしよどうしよ！」

家出なんてするわけない。焦りは増すばかりで、解決策も見つからない。