甘えてほしい。《衣更真緒》 ページ18
少し趣向を変えて、単純に癒してもらいましょう。
「おいA〜？ ははっ、何か疲れた顔してんぞ？」
真緒は少女の青い顔を見て苦笑いする。
対する少女は、何とも言えない苦い表情で真緒に寄りかかった。
「おっ……と。甘えたい気分か？ いーよ、もっと身体預けても。」
今、ふたりは少女の部屋でベッドに腰掛けている。
自室だからか、普段は照れて学院でくっついてこない彼女に目に見えて甘えられ、少し真緒は口角が上がっていた。
「あっはは、頭ぐりぐりすんなって、くすぐったい！ ……はは、ほっぺやわらか。」
肩に思いきり頭を埋めてくる少女の頬を、ふにふにとつつく。
それにも抵抗しない少女をさすがに不思議に思ったのか、真緒は優しく少女の背を撫でた。
「何かまじで疲れてんな……？ 俺に言えることなら言えよ、力には……なれないかもだけど、協力するからさ。」
とんとん、と決まったリズムで撫でる真緒。
少女は一貫して無言だったが、真緒の手つきがどんどん眠気を誘ってきてしまう。
こくこく首を上下させ始めた少女に、真緒は微笑んだ。
「こうしてると、何かほんとに付き合ってんだなって実感するよ。」
真緒の優しく響く声が、じわじわと少女の脳内を侵食していく。
いつの間にか彼の手は頭に移動していて、髪をとかすように撫でてきた。
「普段あんまり甘えてこないし、無理しやすいし。俺って彼氏としてちゃんとできてんのかなって思ってたけど。」
とん、と少女の頭に自分の頭をくっつける。
何かを噛み締めるみたいに、深く息をはいた。
「こーして甘えてきてくれてうれしー……。俺、本当おまえにゾッコンだな……」
部屋に男女でふたりきり、なんて状態で、ここまで落ち着いていられるのは珍しい。
ふたりがまとっている空気はたしかに甘いが、甘ったるいソレではなかった。
「好きだよ。どーしようもないくらいに、Aがすき。……だからさ、もっと俺に甘えてこいよ？」
吐息の混じった眠たげな声が聞こえてきて、少女は思わず目をつぶる。
その瞬間、ふにっと柔らかくて温かいものが少女の唇に当たった。
「抱きしめて〜とか、今みたいにキスして……とか、何でもいいんだ。」
そっと目を開けると、少し頬を赤く染めた真緒が少女の瞳に捉えられる。
潤んだその瞳に何かを感じとった真緒は、少女を腕の中に閉じ込めて笑った。
____俺にだけは、いつでも甘えてきてくれていいから。
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生しょうが(プロフ) - 錦さん» キャラとかいっぱい設定つけちゃうので、感情移入できるって言われるとすごい安心します……。べた褒め嬉しすぎるし、これからも頑張って小説書いていきますので、ずっと好きでいてください！！ (10月12日 21時) (
レス) id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
錦(プロフ) - リスタートの方から飛んで来ました。生しょうがさんの作品は語彙力が高いし話の構成やキャラの気持ちの表現が上手くて、読んでて感情移入が止まらない…！とても好きです…！！！ (10月10日 6時) (レス) @page23 id: 7f2cf0d803 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 立花さん» 自分こそあなたのコメントで癒されました好きです！！これからも頑張ります！ (2022年11月2日 0時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
立花 - 日々の疲れが癒されましたさすが生しょうがさんですね好きです（ノンブレス）ありがとうございます疲れどころか私の体も吹っ飛びました！最高です好きですやったあ！！！いつまでも追い続けます！！ありがとうございます〜！ (2022年11月1日 23時) (レス) @page11 id: f747a95a03 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 立花さん» そちらも見てくださったんですか!?ありがとうございます！リクエストも了解しました！初リクエスト頑張ります〜！ (2022年10月29日 17時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが | 作成日時：2022年10月9日 1時
