気づきたくなかったこと�� ページ25
『高峯翠』
短く交わった互いの熱が、どんどん深く溶けていく。
唇の中に染み渡るみたいに、彼女の甘さが深く、深く。
初めての感覚。初めての感触。初めての感情。
渦巻いた快楽の中には、たしかに僅かな罪悪感が混ざって。
都合の良い夢なんだと思っていた確信めいたものが、彼女の表情を見ながら崩れていく。
「っふ、……ぅ、」
『A……』
「……もういい、帰る。」
拙く響くのは、Aが鼻をすする音。
完全に脱力しきった俺の腕をどけてベッドから降り、唇を静かに拭った。
「全部、なかったことにする。」
『え……』
「私もおまえも今日のことは忘れる。それで終わりだ。風邪のときにうっかり見た悪い夢ってだけだ。」
『で、でもっ』
「それ以上、口開いたら殴る。」
反論は許さない。そんな雰囲気に気圧された。
黙りこくってしまったそのとき、俺の部屋の扉が開く。
「ただいま〜！」
「ひなたくんっ、ノックとかしたほうがっ」
「大丈夫ですよ〜、ほら。」
「あら……それはそれで残念。」
ひなたくんの後ろから、にまにました母さんが俺を見つめる。
でも今は何も言える空気じゃなくて、しゅん、と縮こまった。
「……A？ どしたの。」
「悪い、急に頭痛くなっちゃって。今日はもう帰るわ。」
「あっ、そう？ じゃあまたね！」
「おう。……またな、ひなた。」
母さんと一緒に部屋を出ていくA。
ひなたくんは怪訝な顔をして、俺に視線を向けてきた。
「ん、大分調子良さそうだね。てことで、今の説明してもらっても良い？」
ああ、鬱になりそう。
ーーー…
「なるほど〜。つまり翠くんが最低ってことか。」
『……要約したらそんな感じ。』
心底つまらなそうに呟くひなたくんには、いつもの面影が全くない。
別人と言われても信じられるくらいに無表情だった。
この様子だと、ひなたくんもAのことが好きで、俺より先にそのことに気づいていたんだろう。
そしてそれを、ずっと隠してきた。
「でもあれだね〜、Aの初めてが翠くんかもって話でしょ。」
『……』
「顔赤くしなぁい！ とりあえず、明日いちばんに謝るっきゃないでしょ。」
『うん、それはほんとにそう……』
でも、明日話してくれるかな。
ていうか一生話してくれない可能性もあるよね。
俺の恋、ここで撃沈……!?
『鬱とか言ってる場合じゃない……！』
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生しょうが(プロフ) - サクラさん» 細かいところに目をつけてくれて自分こそBIGLOVEです…！！そのお話は仰る通りで、告白されて翠くんのことしか考えられない彼女と、自分のことを認めてもらった(自分の色を見つけた)翠くんを翠色としてタイトルと掛けてます！翠くんの裏話は完結後たくさん話しますね！ (3月26日 15時) (
レス) id: 3da0e90f37 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 初コメ失礼します！作者様のお話、本っ当に大好きです！LOVE！これからも大好きです！ところで、ど〜っしても気になることがありまして！「すいしょくにそまる」というお話のタイトル、もしや翠くんの「翠」という字が「すい」とも読めることにかけてたりしますか…？ (3月25日 16時) (レス) id: ea0cda33d2 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 綾さん» えぇ、そんなに楽しんでもらえて嬉しすぎます〜……！コメントなんてあればあるだけ幸せなのでじゃんじゃんいただきたい！！これからも頑張るので、いっぱい楽しんでくださいね！！ (8月16日 18時) (レス) @page49 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 何度もコメント失礼します💦物凄いスピードでここまで読み進めちゃいました笑ドキドキハラハラ、続きを読むのが楽しみです！！ワクワクをありがとうございます！！ (8月16日 15時) (レス) @page49 id: 0b59f96bc0 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 妃瀬さん» うわぁ、めちゃくちゃ嬉しいことばかり言ってくださる……！ふわふわも良いけど、元ヤン系の可愛さももっと広まってほしいですよね！！これからも更新頑張っていくので、良ければ見届けてください (2023年5月2日 17時) (レス) @page29 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2023年3月18日 22時
