決意�� ページ47
『なし』
ところ変わって、夢ノ咲の生徒会室にはふたりの男子生徒が残っていた。
優雅に紅茶を嗜む気品溢れた生徒会長と、手元から美しい薔薇の香りを漂わせる『三奇人』の一角。
業務に勤しんでいる訳ではない彼らの沈黙を破ったのは、やはり奇人のほうだった。
「英智、あまりAさんをいじめるのは控えていただきたいです。私だって、怒りますよ？」
「ふふ、耳が痛いね。僕も本意ではなかったんだよ、あの子が傷つくのは。」
「私にAさんを甘やかしすぎるきらいがあることは重々承知しているんですが……それにしても今回は見るに耐えませんでした。」
悲しげに目を伏せる日々樹から、目をそらす天祥院。
その子どもっぽい仕草に、思わず日々樹は微笑んだ。
「私も英智のしたことを称賛するべきだとわかっています。『Trickstar』のため、Aさんのため、貴方はそうするしかなかった。」
「____わざわざ【七夕祭】の前に『『Trickstar』に必要以上に近づくな』と牽制しなければならないほどにね。」
「英智、貴方も相当にAさんを愛しく想っているのでしょう？ 彼女のことになると、いつもより貴方は考えなしですし。」
日々樹は薔薇を花瓶に入れて、天祥院に振り向く。
自嘲気味に笑う天祥院を、しっかり瞳に捉えた。
「【サマーライブ】で起こりうる可能性の一つ……『Trickstar』の挫折。そしてそれを乗り越えるために必要だった彼らの意識の改善。」
「……」
「彼ら自身が乗り越える経験が必要であったから、貴方は彼女を『Trickstar』から遠ざけた。結果、彼女は自身の力不足を告げられたようで傷ついた。……そんな筋書きでしょうか、随分と歪な出来上がりですがね。」
「……その通り、とまではいかないかな。僕は何としてでも、『Adam』に、『七種くん』に近づけたくなかった。」
「だからこそ、数ある可能性を考慮して、『Trickstar』に、ひいては『Eve』に近づけないよう命じた……。ふふ、うちの女王様は波瀾万丈ですね。」
愉快なのか不愉快なのか。
真意の見えない笑みは、天祥院の心を揺らすには十分だった。
しかし、彼がまた日々樹から目をそらすことはなかった。
「そうでもしないと、彼女を守れない。身勝手だとしても、僕は彼女を____心から愛しているから。」
「……そういうことを、裏表なく言える英智は素敵ですね。私も見習いたいです♪」
少女の天秤は、悪意の中で揺れ続ける。
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生しょうが(プロフ) - にゃーちゃんさん» うわぁぁ！更新できず申し訳ないです！！面白いだなんて照れますね…！これからも読んでくれると嬉しいです！！ (2022年12月17日 12時) (
レス) @page26 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、引き込まれる様に一話から最後まで全部読んでしまいました…!!続きがとても気になります！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2022年12月14日 15時) (レス) @page25 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 空桜さん» こ、こんな長編を一気読み…!?（大歓喜）ハマっていただけて嬉しいです！あとちょっとで投稿ペースも戻ると思うので、これからも見守っていてください…！笑 (2022年11月23日 20時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 初めまして、更新お疲れ様です。昨日から一気読みするくらいハマってしまいました笑 イベントやスカウトを交えつつオリジナルのお話を読める作品は中々なかったので新鮮です。お知らせも読みました。ご自身のペースで無理はなさらずに頑張って下さい (2022年11月19日 21時) (レス) id: bedbd72616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年10月29日 16時
