七夕の夜�� ページ3
『清海A』
『あ、ここらで平気っす』
「了解しました。」
家の近くにある公園を見つけ、運転席に座る使用人さんに告げる。
弓弦先輩に桃李を引き剥がしてもらい、私は自転車に跨った。
『送ってもらってどうも』
私のお辞儀に優しく微笑んでくれる使用人さん。
弓弦先輩も、窓を開けて車内から笑いかけてくれていた。
『あの、弓弦先輩』
「何でしょう。」
『本当に、天祥院さんの考えについて何も知らないんですか。』
「……」
朔間さんを対峙したような、やりづらい感覚。
彼らの真意はいつも見えなくて、泡のように掴めない。
けれど、さっきの弓弦先輩は。
____ 「それにしても、会長さまのお考えは理解不能ですね。」
やけにわかりやすかった。
本当に、何も知らない様子だった。
そんな隙を、素の表情を、弓弦先輩が私なんかに見せるか？
とてもじゃないほどあり得ない。演技だったら、納得がいく。
私の問いに、弓弦先輩はいつもの表情で言った。
「はい。知りませんよ。」
『……そう、ですよね。』
怖い。
そんな情けない感情で頭がいっぱいになってしまう。
触れちゃいけない、何かに触れたような。
『……それじゃ、また学校で。』
「また。」
これ以上、私は何も話せなかった。
ーーー…
『ただいま〜……って、暗ぁ、』
家に入ると、電気が隅から隅まで消えていた。
どうせ、彼女の仕業だろう。
ため息をつきつつ、私はリビングの扉を開けた。
『染さ〜ん？ あんたまた映画観て』
「おぉ、お嬢。おかえり。」
『……ただいま。えっと、これはなんだ？』
家中の電気を消すのは、染さんが映画を観るときの準備みたいなもの。
だからまたテレビに張り付いてるのかと思っていたら、染さんはソファに座って天井を眺めていた。
真っ暗な部屋の中、キラキラと輝く星々。
所謂、『プラネタリウム』だと思う。
「何か、かずっさんが送ってきたから。お嬢を驚かせようかなぁと。」
『まぁた母さんは金の無駄遣いを……』
「かずっさんが欲しいって思って買ったもんは無駄じゃねえだろ。」
『……そう』
染さんは、母さんを甘やかしすぎだ。
まあ、私も『母さんだから』許すんだけど。
「飯にすっか。」
『ああ。電気つけても良いか？』
「駄目に決まってるわ、プラネタリウム見えねえだろ。」
『はあ……』
染さんは、やっぱり染さんだな。
張り詰めた息が、ふっと緩んだ気がした。
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生しょうが(プロフ) - にゃーちゃんさん» うわぁぁ！更新できず申し訳ないです！！面白いだなんて照れますね…！これからも読んでくれると嬉しいです！！ (2022年12月17日 12時) (
レス) @page26 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、引き込まれる様に一話から最後まで全部読んでしまいました…!!続きがとても気になります！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2022年12月14日 15時) (レス) @page25 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 空桜さん» こ、こんな長編を一気読み…!?（大歓喜）ハマっていただけて嬉しいです！あとちょっとで投稿ペースも戻ると思うので、これからも見守っていてください…！笑 (2022年11月23日 20時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 初めまして、更新お疲れ様です。昨日から一気読みするくらいハマってしまいました笑 イベントやスカウトを交えつつオリジナルのお話を読める作品は中々なかったので新鮮です。お知らせも読みました。ご自身のペースで無理はなさらずに頑張って下さい (2022年11月19日 21時) (レス) id: bedbd72616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年10月29日 16時
