生意気な声 ページ11
ぬるい風が私たちの間を漂うように流れ、視線を集めたカレが面倒くさそうに耳の後ろを指先で掻いた。
細く、長い指先が、黒髪を揺らすのをぼんやりと眺めていると、赤いアヒル口がゆっくりと動いた。
「……いつまで見てんの?」
特徴的な声。
小さく震えるように掠れた声は、空気が漏れるように音になる。
それは、想像していた声とは違っていて、さらに続くのは、予想外の言葉。
カレの視線は、私を捉えて、目が合った。
「え?」
言われた事に腹が立つとか、そういう感情よりも、視線が合った瞬間に、言葉が出なくなった。
生意気そうに口角を上げて、掠れた声で馬鹿にしたように笑う。
口元に当てられた大きな手。
「メッチャ見てんじゃん。」
その声が、耳の奥から胸の内側に響く。
「はぁ?み、見てないしっ。」
急に恥ずかしさがこみ上げて、言い返してみたけど、完全に強がりにしか聞こえない。
慌ててるのも、恥ずかしさも、1ミリも隠せてないし、それどころか、その特徴ある声に惹かれていた。
「まぁ、とりあえず、入ろうぜー。」
ニヤけた拓海が私の肩を軽く押して、Pinocchioの入口に向けた。
「ニカ。行くぞ。」
「ん。」
地下への階段を降りながら、私の肩に手を置いて、拓海が「よかったなーマジで。」って、私だけに聞こえるように言ってくれて、肩越しに振り返って「ありがとう」って返した。
拓海の後ろを付いてくる手足の長いシルエットが、夕焼けのオレンジ色に縁取られて、眩しかった。
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植尾あい(プロフ) - ふじのんさん» ウフフ 友達2人についても気になっちゃうあたり、マニアックですよ!(笑)でも、その期待を裏切らずに、友達も含めて、この先の展開を楽しみにしていて下さい!二階堂くんの不器用な優しさとか愛情表現、キュンとしてもらえたら嬉しいです。 (2018年2月10日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - にかはるかさん» 不器用な2人の想いがもどかしくて、切なくて、書いてるはずの私もソワソワしちゃいますが、2人の幸せを願いながら、続きを書こうと思います!文章が素敵だなんて、褒めてもらえて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年2月10日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ふじのん(プロフ) - あいさん、こちらの小説では恐らく初めましてです!雑誌を広げて文字を書いたニカちゃん。この時点で「アレしかなおよな?」と予想はしていましたが、とどめの「またなっ○○」がズッキューンときました!2人はもちろんですが、友達2人もどうなるのか気になります(^^) (2018年1月6日 22時) (レス) id: fe899e2f87 (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 植尾あいさん» ニカちゃんの声で心に響いています!自分の気持ちに気づいた主人公ちゃんと、不器用なニカちゃんがどうなるのか、とても楽しみです!文章もとっても素敵です! (2018年1月5日 23時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - にかはるかさん» 二階堂くんの声で脳内再生されてますか?!よかったー。若い頃の二階堂くんをリアルタイムで知らないので、完全な妄想で仕上がっているので少々心配だったのですが、よかったー!のんびり更新ですが楽しみにお待ちくださいね! (2018年1月5日 18時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2017年7月18日 0時