ピンクの雨《Y》3 ページ3
「……はぁ。」
もう一度、ため息をつくと、よこーさんは、バス停に貼られた時刻表と腕時計を確認してから、チラリと視線を私に向けた。
「ちょっと、持ってて。」
「え？」
差し出されたのは、よこーさんのカバン。
「早くしろ。」
少し睨むようにそう言われて、慌ててカバンを受け取った。
川べりの道を遠くからバスのヘッドライトが近づいてくるのが見えた。
「えっ？どうしたの？」
どれだけ準備がいいのか、持っていた折りたたみ傘をバス停の柱に立てかけたよこーさんは、着ていたカーディガンを脱いで、その温もりを残したまま、私の頭に被せた。
「……着て帰れ。」
ぶっきらぼうにそう言って、今度は、私の手から自分のカバンと私のカバンを奪った。
「早く着ろ。」
私を見ずに、近づいてくるバスのヘッドライトを見ながらそう言った。
「……あ、りがと、う。」
何故だか泣きそうになって、隠れるように、私には大きすぎるカーディガンに腕を通した。
フワリと包まれる温度。
それから、よこーさんの匂い。
指先も出ない程の袖を捲ると、また、隣で「だっせぇ、かっこ。」って、笑った。
バスの扉が開いて、私のカバンを持ったままのよこーさんが先に乗り込むと、
「早く乗れ。」
って、振り向いた。
怒っていると思ったその顔は、少し照れた笑顔で、しばらくは、忘れられそうもなかった。
雨は、まだ、止みそうもない。
もしかしたら、
この後、
ピンクの雨が降るかもしれない。
＊end＊
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
