嫉妬《Ki→S》2 ページ19
オレの就職祝いだったはず。
ローテーブルの上には、空になった缶ビールが三本。それから、焼き鳥とつまみ。
そして、テーブルの角を挟んで、彼女の惚気話をする健永。
もう一回確認するけど、オレの就職祝いだったはず。
「めちゃめちゃ可愛いんだよ!」
「はいはい。」
瞳の中に、星とハートがぎっしりの顔で力説してくるから、適当に返事をしながら四本目の缶ビールを開けた。
「恥ずかしがり屋なの!でも、甘えたそうにこっち見るの!もーーーーー、反則でしょ!!!」
「フハッ アホか。そんなん、ガっていっちゃえばいいんだよっ。」
果てしない愛を語る健永に、意地悪したくなって、彼女を押し倒すフリをして言うと、今にも立ち上がりそうな勢いで反論される。
「ミ!ツ!にゃんちゃんは、そういう子じゃないの!!!」
ん?は?
「『にゃん』ちゃん……?」
「あ!彼女、子猫みたいに可愛いから『にゃんちゃん』って、呼んでるの!可愛いでしょ?」
たぶん、その瞬間、オレの顔が全面で「バカップル」って、表現してたと思う。なのに、全く気がつかない健永は、夢見心地に遠い『にゃんちゃん』へと思いを馳せていた。
「今頃、何してるのかなぁ……。」
「電話してみろよ。」
冷やかし半分にそう言ってみると、健永は、ポケットからスマホを取り出した。
まだ、電話くらい許される時間。
「んー、……やっぱ、やめとく。」
スマホは、ポケットに逆戻り。
声のトーンが落ちて、テンションはそれ以上に落ち込んだのが手に取るようにわかる。
「何で?平気じゃん、まだ。」
「オレが平気じゃないから。」
あからさまにシュンとして、テーブルに指先でのの字を描く。
「会いたくなっちゃう……。」
「乙女かっ!!!」
思い切り突っ込んで、脇腹にチョップをくらわすと「んにゃぁんっ!」って、変な声をあげて大袈裟に転がった。
地元の名古屋で、短大に進学した『にゃんちゃん』。
東京の大学に進学した、健永。
ベタ惚れの彼女を置いて地元を離れるのは、どれだけの決心が必要だったんだろう。
「ミツは、大切で大切で仕方ない女の子に、まだ、出会ってないんだよ……。」
脇腹を抑えながら起き上がって、急に上から偉そうなことを言う。
絶対にオレの方が経験値は上だし、元カノの人数だって多いはず。
でも……
「……そうかもな。」
離れてもなお、変わらぬ想い。
こんな風に思える相手に出会えた健永が羨ましかった。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時