ダイスキのキス《S》2 ページ17
「いらっしゃい。」
「き!い!て!」
にこにこ笑顔で迎え入れてくれた健永に、思い切り眉間に皺を寄せた不機嫌顔でそう言う。
「とりあえず、荷物もらおうか。……って、随分買ってきたねぇ。」
パンプスを脱ぎながら、ビニール袋を手渡すと、中身を確認した健永が若干引き気味に言ってから、冷蔵庫にビールを入れた。
「健永の分も買ってきたのっ!」
殆ど空になった一本目の缶ビールをリビングのローテーブルに置いて、ラグの上にペたりと座った。
「はいはい。ありがとう。」
自分の分と、私の二本目のビールを持った健永がフワリと優しく私の髪を撫でた。
私には、もったいないくらいの彼。
「で?何があったの?」
「あのねっ!」
隣に座って、おつまみを入れるにはオシャレすぎるお皿に、私が買ってきたおつまみを出しながら、私の中のドロドロした言葉を引き出してくれる。
だから、いつだって、私は、頑張れる。
ビールとおつまみと安心して酔っぱらえる場所と、健永。
私には、なくてはならない存在。
お酒だって強くないから、私だけが酔っ払って、愚痴りまくって、絡みまくって。なのに、ちゃんと聞いてくれて、私の欲しい言葉をくれる。
「……なんで、みんな、私の仕事は、認めてくれないのよぉ。私の方がさぁ……私の方が……」
飲み干したビールの缶をテーブルに並べて、端から指で弾き飛ばしていく。
「あ、あ、あー、やめて、やめて。」
カランカランと音を立ててフローリングを転がっていく缶を追いかける健永を眺めながら、テーブルに突っ伏す。
「健永ぉ……。怒った?」
「ん?なんで?」
元あったように、空き缶を並べながら笑う。
「酔っ払ってるから。」
「いつものことでしょ?」
「絡んでるから。」
「それも、いつものことでしょ?」
熱を持った頬は、ビールのせいだけど、赤い頬の原因の何割かは、健永の優しさに惚れ直してるから。
「……ごめん。」
なんだか、とんでもなくダラしない彼女な気がして、小声で謝ってみたら、クスクス笑った健永が熱くなった頬を優しく撫でて目を合わせた。
頬に触れる手は、ひんやりとして心地いい。
「オレの所に愚痴りに来るってことは、Aは、オレのこと大好きだね。」
そう言って、にこにこ笑顔の健永に、ちょっとだけ甘すぎるんじゃないかって思いながら
「……大好きだよ。」
って答えると
「オレも大好き。」
って、キスをした。
* end *
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時