サヨナラのキス《Ki》1 ページ14
「三年なんて、あっという間ねぇ……」
咲き始めた桜が、まだ、少し寒そうに見える校庭。
卒業証書を持って肩を寄せ合い写真を撮る仲良しグループ。
小さな花束を沢山抱えて部活の先輩に配って歩く後輩。
遠目に想いを寄せる男子を見つめる背中。
楽しい三年間、だったかな……。
席替えのくじ引きを何度しても、私の席は、窓際の一番前。
教室全体を見渡せる特等席。
全員の顔が良く見える、ココ。
旅立って行く背中を見送って、また、この席に戻ってくるのは、私だけだ。
広々とした机の上には、私宛てにとクラスの女の子が代表して書いてくれた卒業証書。
今どきの女子高生らしい文字で書かれた、『Aちゃん先生 殿』は、歳の近い担任への親しみと感謝に溢れていて、不覚にも涙が零れてしまった。
「……ありがと。」
最後の出席をとった出席簿を開いて、一人一人の名前を指先で辿る。
少し腫れぼったい瞼に、また、涙が込み上げてくる。
窓の外から聴こえる華やぐ笑い声。
「私も……卒業したくなっちゃった。」
来月には、真新しい制服に、少し緊張した笑顔の生徒達が入ってくる。
まだ、経験の浅い私を、また、友達扱いする生意気な男の子がいるかもしれない。
並んだ名前の中、指先が止まるのは、
『北山宏光』
学年一、いや、学校一、私を友達だと思ってた男の子。
手がかかる子ほど、印象深くて、良くも悪くも思い出が沢山。
「……もう、いないんだね。」
振り回された日々も、いざ、卒業してしまうと、いい思い出だ、
ゆっくりと、思い出をしまうように、出席簿を閉じて、切なさに浸りながら頬杖をついて、眩しい校庭に目を向けた。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時