私の先輩《F》5 ページ13
まだまだ、夢心地の私を置いて、つい数分、いや、つい数秒前に、甘いキスをくれたはずのカレは、もう、キッチンに立っていて、鍋の蓋をとって言った。
「シチュー食べよ。」
暖かな湯気が立ち上り、美味しい匂いが広がる。
正直、気持ちの切り替えが追いつかない。
藤ヶ谷先輩とのキスは、まだ、私の日常ではなく、非日常。
「あ、うん。今、準備するね。」
無理やり頭の中を切り替えて、キッチンに入ると、コンロの火をつけた。
いい匂いがして、鳴ってしまいそうなお腹に力を入れて、シチューをかき混ぜていると、食器棚から何かを取り出したカレが隣に並んだ。
「今日は、コレで食べよっか。」
カレの声に顔を向けると、調理台に、上品な箱が置かれていた。
「これは……何？」
「プレゼント。」
短い回答。
楽しそうに笑う藤ヶ谷先輩。
期待にワクワクする、私。
「開けていい？」
「どうぞ。」
鍋の火を弱めて、箱の蓋を両手で開ける。
「……え、これは……」
現れたモノに、戸惑いの声を上げて、カレを見ると、ますます楽しそうに笑って言った。
「オレね、和食好きなの。
だから、今度は、豚汁作って？」
箱の中身は、材質の違う二つのオシャレな木のお椀。
とてもシチューを入れる器じゃなかった。
「もぅ、びっくりしたー！」
笑い声が重なって、部屋中に幸せな空気が溢れていく。
藤ヶ谷先輩が、こんな子供みたいなイタズラするなんて、会社の誰も知らないでしょ？
知ってるのは、私だけ。
引っかかるのも、私だけ。
そうでしょ？
ね、私の先輩。
＊ end ＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 995人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
