好きか嫌いかお気に入り《2》3 ページ28
「お水持ってきました。」
控えめにノックしてから、楽屋に入ると、ソファに座った二階堂くんに、ペットボトルのお水を手渡す。
「え？Aちゃん、わざわざ買ってきたの？」
背後から着替えを終えた千賀くんに言われて気がつく。
「……あ。」
楽屋のテーブルには、人数分のお水とお茶のペットボトルが並んでいた。
「……もー！二階堂くんっ！」
ソファに座る二階堂くんを睨むように見下ろすと、急に、眉をひそめて私の手首を掴んだ。
「ねぇ、ちょっと疲れてんじゃない？」
不意打ちの優しい言葉に、自分が怒っていたことなんて吹っ飛んで、見上げる黒い瞳を見つめた。
「とりあえず、座んな。」
そう言って、そっと手首を引かれて隣に座ると、さっき、髪から香った二階堂くんの匂いのテリトリーにすっぽりと覆われてしまう。
綺麗に整えられた指先が、ペットボトルのキャップを開けて、ボトルを私の手に握らせる。
「あ……りが、と。」
「ん。」
冷たいペットボトルが手のひらに心地よくて、両手で握って１口飲み込む。
あ、そういえば、今日、お昼ご飯食べ損ねてる……。
喉を通っていく冷たい感覚に、水分さえいつ摂ったのかも思い出せないくらいで、どっと疲れが押し寄せる。
「……熱は、ないみたいだね。」
柔らかな手のひらが前髪の下にすべり込むようにして、額に当てられ、思わず一瞬体を引くと、二階堂くんが覗き込むように心配そうな眼差しを向ける。
「あ……大丈夫。」
二階堂くんのこういう表情、弱いんだよね……。
視線を逸らして俯くと、額に触れていた手が離れて、二階堂くんが急に立ち上がった。
「ほら！ほら！間違ってないじゃん！」
そして、私を通り越して、背後へと大声で主張する。
「ん？……え？」
何が起こったのか理解出来ず、あたりを見回すと、私からは、死角となる場所で、音を立てずにこちらを見ている視線とぶつかった。
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植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます！チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました！リクエストありがとうございます！ (2019年2月12日 20時) (
レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です！！けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね！このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです！ (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです！卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります！ (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねﾝﾌﾌ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月16日 22時
