好きか嫌いかお気に入り《Ki》3 ページ42
「オレ、デカい車運転出来っかなー。フフ」
「アクセル届きます?」
「おいっ!ンハハハハ」
久しぶりに座る助手席のシートは、何だか気恥ずかしく、居心地が悪くて、二階堂くんみたいに北山さんをからかってみる。
「フフフ ごめんなさい。」
シートベルトをしながら、運転席を見れば、サイドミラーを視線の先で覗く北山さんの横顔。
彼は……、彼等は、大切な……商品。
一人の人として、関わったらいけない。
真っ先に教わった、ルールのひとつを、心の中で唱える。
「出発しまーす。」
「安全運転でお願いします。」
後部座席では、横尾さんが腕を組んだまま、小さな寝息を立てていた。
彼らは、彼らを愛するたくさんのファンの為に存在していて、私は、そんなたくさんのファンの為に、彼らが彼ららしく生きられる様にサポートしなければならない。
窓の外を流れる景色。
真夜中を照らす、対向車のヘッドライト。
窓ガラスに映る、ハンドルを握る北山さんの横顔。
それは、私のものではないから、目を閉じて、視界から締め出した。
「飲み物……。」
北山さんの声がして、ハッとして目を開けた。
「あっ、すみません。これ。」
手に持ったままだったペットボトルは、私の体温で少しだけぬるくなっていて、代わりに私の手が冷たくなっていた。
「開けてー。」
まるで、ドライブ中の彼女に甘えるみたいな声で、前を見たままそう言ってから、左手を出してくる。
「あ、はいっ。」
キャップを外して、ペットボトルをその手に押し付けると、慣れた感じに「サンキュ」って、受け取った。
「ペットボトルのお茶の中では、コレが一番美味しいと思います!ちゃんとお茶の味がするから。」
私のおすすめポイントを、聞いているのか聞き流してるのか、一口だけ飲んでから、何も言わずに差し出されたペットボトル。
運転する北山さんの横顔は見ないように受け取って、キャップを締めた。
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植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます!チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました!リクエストありがとうございます! (2019年2月12日 20時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です!!けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね!このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです! (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです!卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります! (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねンフフ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね! (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます! (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月16日 22時