さくら《 after story of キミ声》2 ページ37
「……やっぱり、真下を歩いて見る桜は、もっとキレイだった。」
躊躇っていたらダメだと思った。
自分でチャンスを逃してはいけないって思った。
桜が教えてくれた。
自分が行動しなければ、知らずに過ぎてしまう事は、きっと、たくさんある。
「Aちゃん。」
不意に呼ばれた私の名前は、愛しい音。
フォークを持ったまま、まだ、モグモグと口を動かしているニカの顔を見て、幸せを感じる。
「ん?」
一音で返せば、キミは、名案を思いついた子供みたいに笑う。
「行こうか。」
「え?どこに?」
「お花見。」
ニカの思考は、やっぱり、いつも私の一歩も二歩も先をいって、振り回す。
「え?今から?
もう、0時過ぎてるよ?ライトアップも終わってる時間だし、お風呂も入っちゃったよ?」
時計を確認して、私と同じシャンプーの匂いがするニカの髪を指摘すると、フォークを置いたニカが私の方に向き直り、頬を膨らませて、ピンと人差し指を突き付ける。
「ほらっ!!!何だかんだ理由つけてる!」
「あ……。」
ついさっき、自分で言ったことを忘れて、また、チャンスを逃そうとする私に、ニカは、もう一度、チャンスをくれる。
「きっと、その桜の下、オレと手繋いで歩いたら、もっとキレイだと思うよ?」
膝の上の私の手を、ニカの大きな手が包み込むように握って、反った親指が私の指を撫でた。
柔らかな温度。
ニカの温もり。
いつだって、この手が私を連れ出してくれた。
ニカの手を握り返して、頷いた。
「……うん。」
きっと、これからも、ずっと。
*end*
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植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます!チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました!リクエストありがとうございます! (2019年2月12日 20時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です!!けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね!このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです! (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです!卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります! (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねンフフ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね! (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます! (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月16日 22時