キミのその手を その声を 【9】

この先の恋を誓おう ページ22

「うん。……ずっと、一緒にいるよ。」


小さなこの世界で、誓いのようなその言葉。

『ずっと』なんて、信じられなくなっていた私に、躊躇いなくニカのこの先『ずっと』を差し出してくれた。

その想いが私のこれからを照らして、また、『ずっと』を誓えるようになったんだよ。


ずっと、ずっと、これから先も、キミのその手を離さない。


ギュッとニカを抱きしめるように、その胸に頬をすり寄せて確かめる温もり。


「もう、離れたりなんか……しないから。」


どんなに離れたって、この恋心が消えたりしないって、わかったから。


離れるなんて、きっと、死ぬまで無理。


私の言葉に、小さく笑ったニカが耳元で囁く。


「大丈夫。もう、離してなんてあげないから。」


絡まり合うように、その長い腕を私の身体に巻き付けて、包み込む様に抱きしめる。

柔らかな唇が額に触れて、ずっとずっと先を見せてくれる。


「Aちゃんのこれから先ずっと、全部オレのものだから。」


その言葉の意味を確かめたりしたらいけないって知ってる。

それは、不自由で不器用な私たちの恋が、いつか、辿り着く未来。

その『いつか』が、どれだけ先にあるかなんて、きっと、神様にもわからない。

でも、そんな未来に辿り着くことを信じてる。


「欲張り。」


私の返事に、ニカが笑う。
ニカが笑って、私に笑顔をくれる。


2人きりの寝室が、私たちの小さな世界。

誰にも邪魔されないこの世界で、この恋を誓おう。


ニカの背中から手を離して、私を抱きしめるニカの腕に沿うように、その指先を目指して触れる。


滑らかなその肌の感触。

指先が見つける私の証。

ニカの手首に馴染んだレザーの感触。


ゆっくりと確かめる様に、ブレスレットに触れてから、ニカの指に、自分の指を絡める。

柔らかくしなやかな指が、そっと私の手を握り返してくれる。


「ねぇ、ニカ。」

「……ん？」


少し眠そうな声で返事をしたニカが子供みたいで可愛くて、愛しさが溢れる。


「…………好きだよ。」


小さく呟く告白。


「オレの方が……もっと、好きだよ……。」


答える負けず嫌いな告白は、半分夢の中から。

幸せなこの夜が、永遠に続くことを祈って、ゆっくりと目を閉じると、繋いだ手からニカの温度が伝わる。


「……おやすみ、ニカ。」


薄く開いた唇から、零れる穏やかな寝息。

伏せられた睫毛、その縁のニカマーク。


『おやすみ』も『おはよう』も、伝えられる距離にいられる幸せ。

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