嘘つきで寂しがり屋な二人 ページ20
ニカの優しさと可愛い束縛に、長い袖で顔を隠すようにひとり身悶えながら、ベッドの上で丸まって、毛布に包まる。
ベッドに残るニカの匂い。
素肌に残るニカの感触。
身体に残るニカの温度。
部屋に残るニカの気配。
どれも全部が幸せの欠片で、きっと、一人の時間も私を寂しくなんてしないんだってわかる。
ギュッと自分自身を抱き締めて、ニカのパーカーに包まれるように、膝を引き寄せ身体を丸めると、心の中からじんわりと満たされていく。
遠くから近づいてくる裸足の足音。
そのままの体制で、寝室のドアに背を向けたままベッドに丸くなって、振り返らずにいると、そっと捲られた毛布の隙間から入り込むニカの体温。
優しくベッドを揺らしながら近づく身体を背中で感じて、振り返らなきゃ、声を出さなきゃって思うのに、ニカの行動のその先を期待して動けない。
ねぇ、ニカ。
私って、こんなに欲張りでズルいんだよ。
そんなことを思いながら、目を閉じる。
背中に触れるニカの鼓動。
ゆっくりとお腹に回る腕。
変な緊張に細く息を吐くと、少し温度の低い指先が、枕と首の隙間から入り込み、回り込んだ大きな手が私の前髪を撫でるように触れた。
そして、近づく唇が耳元で囁く。
「…………起きてんでしょ?」
「…………。」
気づかれてることには、気づいてる。
「Aちゃん?」
「…………。」
ニカだって、寝たふりだって気づいてる。
嘘つきな二人。
ニカの脚が私の脚を捕まえるみたいに絡んでくるから、その重さに声を出す。
「……重い。」
「ほら、起きてた。」
「寝てます。寝言です。」
「嘘つけよ。フフフ」
耳元で笑うから、かかる息がくすぐったくて、つられて笑いながら体を捩ってニカへ向ける。
目を開ければ、そっと額をつけるように、向かい合う私たちは、無言になって見つめ合う。
カーテンの隙間から見える空は、まだ、深く青い夜。
でも、過ぎる時間が夜を遠ざけ、切なさを生む。
ニカの目を見つめたまま、ゆっくりと瞳を閉じれば、しっとりと濡れた唇が重なる。
寂しがり屋な二人。
もう、朝は、そこまで来てる……。
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りな(プロフ) - こんにちは!昨日この作品を読み始めてハマってしまいもう読み終えてしまいました!あいさんの作品大好きです!もし差し支えなければkis soulのパスワードを教えていただきたいです!20歳のにかみつ担です! (2020年1月21日 23時) (レス) id: f006de2d90 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - kanonさん» kanonさん!何度も読み返していただけて感激です!こんな長い作品を夜中に一気読みとは、夜更かしさせてしまいましたね……ニカsideも、何度も読み返したくなる作品になるよう、頑張ります! (2019年1月7日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
kanon(プロフ) - 何度読み直しても2人の空間にやられます!夜中に一気に読んでぼろぼろ泣いてしまいました。ニカのワンコ力、察知能力、優しさ、言葉…彼らしさがふんだんに盛り込まれてます。ニカサイドと交互に読んであちらの続きもお待ちしてます! (2018年12月24日 2時) (レス) id: 21ebf13f97 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナツさん» 読み返してもらえて嬉しいです!ありがとうございます!個人的に北山くんと二階堂くんのやり取りを書くのがとても楽しくて好きなので、ミツ担さんにも好きになってもらえて感激です!北山くんと彼女もいつか書けたらなぁと思ってます! (2018年8月4日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 初めましてのコメント失礼致します。本当に本当に大好きな作品で事あるごとに読み返してます!あれ?私、ミツ担のはずでは!?と自分でも整理できない感情はどこへ向ければいいのでしょうか?笑個人的にはミツの彼女さんとの馴れ初めも気になります♪ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 8a0cb53120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年6月24日 7時