永遠の約束 ページ26
ニカと二階堂くん。
二人のバランスを崩したくない。
でも、少しのワガママなら許してもらえる?
「でも、どうしても辛くなったら、言うと思う……。」
パーカーの袖をギュッと握って、ニカと視線を交わす。
「だから、その時は……」
そこまで、私が言ったところで、ニカが立ち上がって、大股で一気に距離を詰めて、そのまま、ギュッと抱きしめられる。
その温かさと匂いで、もう、ニカしか見えない。
「うん。わかった!」
言おうとした気持ちは、言葉にしなくても伝わったようで、ニカの返事に『ホントに?』って聞き返すと、自信満々の『本当に!』が返ってきた。
「じゃあ、今日は、オレが思ってること言うね。」
「えっ?」
抱きしめられたまま、顔を上げれば、すぐそばでニカが笑う。
大好きな笑顔をひとりじめ。
「約束しても守れないこととかあるだろうし……、いっぱい待たせちゃうかもしれないけど……、オレ、必ず、Aちゃんの所に帰ってくるからね。」
笑顔のニカが、一つ一つ大切に口にする言葉が、私の胸に染み込んで、幸せな気持ちでいっぱいにする。
「絶対。だから、待ってて。」
それは、永遠の約束。
「うん、待ってる。」
強く強く、ニカの背中を抱きしめた。
この温もりを、この匂いを、この想いを、無くさないように。
ずっと、傍で、キミの笑顔を見ていられるように。
いつでも、この部屋に帰ってこられるように……
「あっ!!!」
「えっ?!なにっ?」
急に私が上げた声に、驚いたニカが腕の力を緩めた。その腕の隙間をすり抜けて、棚の小さな引き出しを開ける。
時間を確認したニカが慌てた声を出す。
「やっべ!もう、行かないと!」
明るくなる空、1日が動き出す。
「あぁっ!!!」
「だから、なんだよっ!ンハハ」
引き出しを掻き回しながら、もう一度声を上げると、身支度を整えるニカが笑いながらつっこんでくる。
「…真紀だ。」
そこにあったはずの小さな鍵。
ここに、いつでもニカが帰ってこられる様に、私たちの間を繋げる鍵。
たった一つの合鍵。
「え?真紀ちゃん?」
あの日、私をひとりにしないために、そばにいて、私を見送ってくれた真紀に、渡したままだったことに気づく。
「なんでもない。ほら、時間。」
不思議そうにするニカを、ごまかすように急かして、棚の扉を閉める。
「変なAちゃん!」
そう言って笑うニカに、真紀から早急に返してもらおうって心に決めた。
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りな(プロフ) - こんにちは!昨日この作品を読み始めてハマってしまいもう読み終えてしまいました!あいさんの作品大好きです!もし差し支えなければkis soulのパスワードを教えていただきたいです!20歳のにかみつ担です! (2020年1月21日 23時) (レス) id: f006de2d90 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - kanonさん» kanonさん!何度も読み返していただけて感激です!こんな長い作品を夜中に一気読みとは、夜更かしさせてしまいましたね……ニカsideも、何度も読み返したくなる作品になるよう、頑張ります! (2019年1月7日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
kanon(プロフ) - 何度読み直しても2人の空間にやられます!夜中に一気に読んでぼろぼろ泣いてしまいました。ニカのワンコ力、察知能力、優しさ、言葉…彼らしさがふんだんに盛り込まれてます。ニカサイドと交互に読んであちらの続きもお待ちしてます! (2018年12月24日 2時) (レス) id: 21ebf13f97 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナツさん» 読み返してもらえて嬉しいです!ありがとうございます!個人的に北山くんと二階堂くんのやり取りを書くのがとても楽しくて好きなので、ミツ担さんにも好きになってもらえて感激です!北山くんと彼女もいつか書けたらなぁと思ってます! (2018年8月4日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 初めましてのコメント失礼致します。本当に本当に大好きな作品で事あるごとに読み返してます!あれ?私、ミツ担のはずでは!?と自分でも整理できない感情はどこへ向ければいいのでしょうか?笑個人的にはミツの彼女さんとの馴れ初めも気になります♪ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 8a0cb53120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年6月24日 7時