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バッテリー残量 10% ページ5

部屋の隅から隅まで掃除機をかけて、フローリングを軽く拭き掃除する。



「こんなもんかな!」



勢いに任せて始めてしまった大掃除に、適度に満足してピリオドを打つと、時計の針は、4時半を過ぎていた。

遅れると連絡のあった真紀が気になって、スマホを確認すると、案の定、メッセージが入っていた。



− 今、駅ついたよ。もうすぐ、着くからね


− 気を付けて来てね



受信時刻は、数分前、すぐに到着することは、わかっていたけど、念のため返信した。


そして、ほんの少し、不安の混じる期待で画面に触れる名前は、『ニカ』。



− 充電切れないように、とりあえず、これで補充しておいて



私の送ったメッセージへのレスポンスの悪い返信。

一緒に送られてきた写真には、両手を頬に当てて、可愛いアヒル口を突き出すようなキス顔のニカ。



「ブハッ……何これ。」



思わず吹き出す。


そして、感じる僅かな違和感。



「あぁ……、今日は、スーツなのね。」



送られてきた写真のニカは、グレーのスーツにキチンとネクタイをしていた。

私の前に現れるニカとどこか違うのは、緩やかにセットされた髪型と上げられた前髪のせい。



そして、

その左手首に姿の見えないブレスレットのせい。



少しだけニカが遠くに感じて、でも、こうして私を安心させようとしてくれている優しさにホッとした。



− 充電、10%だけ復活したよ (笑)



ニカの優しさに返信して、残りのセッティングに戻る。



綿素材の白いラグを丁寧に引いていくと、リビングが明るくなっていく。



「白いラグ……そのうち、ニカに汚されそう。」



そんな予想を立てながら、ラグの中心へとローテーブルを運ぶ。

意外に重い木製のローテーブルを気合いを入れて持ち上げると、危うくラグの端に足が引っかかり転びそうになった。



「危なっ。」



何とか転ばずに済んだのも束の間、ラグにローテーブルを下ろすと、テーブルの足が何かを踏んだ。



「なっ……あっ!!!」



壊れていないことを信じて、下敷きとなったテレビのリモコンを救出する。



大丈夫そう……かな?



リモコンを満遍なくチェックしていると、どうやらテーブルの足が電源ボタンを押してしまっていたようで、僅かなタイムラグを経て、背後でテレビがつく。






驚いて、振り向いたのは、突然ついたテレビのせいじゃなくて、






テレビから聞こえる






キミの声と






キミの名前に






驚いたから。

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植尾あい(プロフ) - 千明さん» if聞きながら?!私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです!もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった!お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります! (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか?こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月23日 7時

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