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寒い夜には ページ39

抱きしめてくれる腕に、ただ、身を任せて。
その温もりに包まれる幸せを噛み締める。



「ニカ………、あったかい。」



呟いて、ニカの背中に腕を回す。

クッションに座っている分、背の高いニカの胸に頬を押しつけるように抱きしめる。

トクトクと伝わる鼓動に、ニカがここにいることと、二階堂高嗣くんに触れているという現実に挟まれる。



「まだ、………夜は、寒いね。」



離れないでいられる理由を探して、体温を寄せ合う。



この温度が何よりも私を温めてくれる。



「そうだね。」



ニカの声が優しく、夜に溶けるようにそう言って、ゆっくりと背中を撫でた。


私だけにくれると言ったニカの全てを、今、抱きしめて、それが許されないことだって知りながら、離せない。



「大丈夫…………」



私の髪に口づけるように寄せた唇が切なくささやく。


それから、フフッと小さく笑って言った。




「Aちゃんのこと、ギュッてして寝てあげるからね。」




私の心を読むのが得意で、空気を変えるのが得意なニカが、可愛いペットの顔をする



それなら、私も飼い主の顔で甘えやすい。




それを知ってのことでしょ?




「私より先に寝ちゃダメなんだよ?」


「いいよ。なんなら、朝までギュッてして、起きてるよ。」


「えっ?!」



ニカの発言を勝手に深読みして、勝手に驚く私に気づいたニカがにやつきながら私の表情を覗き込む。



「え?Aちゃん?何想像してるの?
えーー、やらしーー。」


「はぁっ?!してないしっ!」


「えぇーー本当にぃ?」



ニヤニヤするニカを押しのけて立ち上がる。



「カ……カーディガン着てくる!」



熱い頬を隠して、寝室に逃げ込む。

リビングからは、ニカのバカ笑いが響いて、ムードの欠片もなくなっていく。




でも、知ってるよ。

全部、ニカの優しさ。




「アハハ ごめんっ!ごーめーんー!Aちゃん!待ってぇ。」


「待ちません!」



追いかけてくるニカの声をピシャリと撥ねのけて、カーディガンを手にした瞬間。





「ごめんって………」





ニカの両手が背後から伸びて、私の手を止める。



ずるいよ………。







「カーディガンより、オレの方が…………あったかいよ?」







そっと包み込むように抱きしめられる背中にニカの温度が伝わる。




そんなの、知ってるよ。

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植尾あい(プロフ) - 千明さん» if聞きながら?!私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです!もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった!お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります! (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか?こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月23日 7時

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