知っているということ ページ27
指の間をサラサラとすり抜けていくニカの髪に、ドライヤーを当てながら、ゆっくりと確実に進んでいく時間を感じる。
『ずっと』って時間を終わりに近づけて、ニカの想いに応えられない自分の弱さを知る。
「ねぇねぇ、Aちゃん？」
ドライヤーの風に吹かれながら、何やらニカがゴソゴソと足元のラグに置きっぱなしになっていた雑誌を並べはじめる。
「何やってるの？」
「ﾝﾌﾌ どの二階堂高嗣が好き？」
何冊かの雑誌のページは、すべて二階堂くんのグラビアが広げられて、様々な表情で私を見つめていた。
どれも全部ニカなのに、どれも全部知らないアイドルで、何て答えたらいいのかわからない。
「ねぇ、どれ？」
ワクワク顔で振り向くニカの顔に温風が直接当たって、「あちっ！」って、顔をしかめたニカが一番好きだよなんて、言えない。
「………全部、二階堂高嗣くんだから、同じ。」
「え？どういう意味？」
ドライヤーの風に靡く髪に、しかめ面なニカが、また、振り向こうとするから、もう一度、前見てって、促す。
雑誌の中の二階堂くんは、
無邪気な笑顔も
切なげな視線も
ふざけてはしゃぐ姿も
セクシーな指先も
全部、ちゃんと二階堂高嗣くんで、その二階堂くんは、雑誌を手にする恋する瞳には、二階堂くんの全て。
でも、
目の前で、
「ねぇ、Aちゃん？どういう意味？」
って、私のドライヤーの風に吹かれて、首をかしげるニカを知ってる私には、ニカが作り上げた二階堂高嗣くんに映ってしまう。
だから、全部、同じ。
全部、大切な二階堂高嗣くん。
「全部…………、好きだよ。」
恥ずかしいから小声で答えると、ニカも恥ずかしそうに笑って、また、振り向こうとするから、今度は、赤い頬を見られたくなくて、私が顔をそらした。
「照れてるの？」
可愛い口を意地悪に歪ませて、にやけ顔のニカが言うから、
「ニカもでしょ？」
って、睨む。
「…………ハズいね。」
そう言って、眉を八の字にして、恥ずかしそうに笑うニカを見て思う。
こんなニカを知ってしまった私は、
きっと、
あの無数に輝く光の一つになることもできない。
あまりに、たくさんのニカを知ってしまっているから。
雑誌のグラビアに収まる二階堂高嗣くんの笑顔より、もっと、身近なニカの笑顔を知ってしまっているから。
私だけに向けられる、笑顔を。
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植尾あい(プロフ) - 千明さん» ｉｆ聞きながら？！私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (
レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです！もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった！お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります！ (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか？こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月23日 7時
