もう一人のキミ ページ24
諦めたくないって、本当は、言いたかった。
ニカの目を見て、ちゃんと言ってあげたかった。
それが出来ないのは、私の弱さ。
それに気づいてしまうのが、ニカの優しさ。
私の背中から解けたニカの手が、柔らかく私の手を握って、少し躊躇うように言った。
「じゃあ………二階堂高嗣は？」
ニカの目は、真っ直ぐで、その瞳に吸い込まれてしまいそうで、瞬きをして俯いた。
「Kis-My-Ft2の………二階堂高嗣は？」
あの日、ニカの言った言葉が頭の中に蘇る。
そういうことだったんだね。
『どんなオレでも、好きでいてくれる？』
『オレの存在が、Aちゃんを悲しませても、好きでいてくれる？』
不安の色に揺れる瞳で、涙とともに吐き出されたニカの言葉たち。
ニカは、あの時、こうなることがわかってたんだね。
わかってたのに、それでも、私を欲しいって思ってくれたんだね。
「二階堂高嗣くんのことは、まだ、あまり詳しく知らないけど………。」
「うん。」
落ち着いたトーンのニカの相槌。
いつだって、私の言葉を導いてくれる。
「きっと………好きになると思う。」
テレビ画面の向こうで、歌って、踊る、カレのこと、純粋に、素敵だなって思った。
私といるときのニカとは、違っても。
あのお日様みたいな笑顔は、やっぱり、ニカだった。
「二階堂高嗣くんのこと、もっと、知りたいって思った。」
本心から、言った。
私の知らない二階堂高嗣くんのこと、もっと知って、もっと感じたかった。
ニカを支えて、応援する、無数の光の一つになりたかった。
「………よかった。」
ため息をついたニカが、そう言って、握っていた私の手の甲を親指で撫でた。
その手を握り返して、ニカの顔を覗くようにして笑顔を向けると、ニカも笑顔を返してくれた。
「今度は、一緒にライブのＤＶＤ見ようね。オレが解説してあげるから！」
「ﾌﾌｯ ありがとう。」
満面の笑顔を私にくれるニカに、つられて笑う。
「よしっ！」
笑顔を取り戻したニカが、その笑顔に癒やされた私の手をキュッと引いた。
「えっ？」
急に引かれたとこで、前のめりになった私を小悪魔ニカが企みの表情で見つめて、片方の口の端を上げて言った。
「じゃあ、お風呂入ろっ！」
「はぁっ？！」
悪びれず、上目づかいにアヒル口で「入ろう？」って言うニカを見て思う。
ニカのことなら、こんなに知ってるのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 847人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
植尾あい(プロフ) - 千明さん» ｉｆ聞きながら？！私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (
レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです！もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった！お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります！ (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか？こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月23日 7時
