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親友だからこそ ページ13

「なんか、色々付き合わせちゃってごめんね。すき焼きもできなかったし……。」


心底申し訳なそうに、カバンを持って玄関へ向かう真紀の背中に話しかける。


本当は、引き止めたい気持ちでいっぱい。

ニカの正体を知ってしまった今、一人になるのは、怖かった。


相変わらずヒールの高いパンプスを履いた真紀が振り返る。



「A………本当に、ごめん。ごめんね。」


「もういいって。大丈夫だから!」



頻りに謝ってくれる真紀に笑ってみせる。

目を合わせた真紀がキュッと口を結んでから、ドアに手を掛けるとガチャリと音を立ててドアが開く。



「送っていかなくてごめんね。」



私の声に、開きかけたドアをストップさせた真紀がドアノブに手を掛けたまま振り返る。隙間から夜の空気が冷たく足元に滑り込んだ。





「A………、ニカを好きになったこと、後悔してる?」





真剣な表情の真紀に、言葉を失う。



全てを知る、親友だからこその真っ直ぐな問い。





「後悔なんて、………してないよ。」





ニカを好きになったこと、私の全てを差し出したこと、この恋を後悔することなんて、一つもない。





「じゃあ、今も、ニカが好き?」





懇願するような視線を向ける真紀に、私は、ゆっくりと頷いた。





「好きだよ。………そんな、簡単に諦められないよ。」





口に出してしまうと、途端に孤独が押し寄せて、自ら望んだ決心が鈍ってしまう。


それでも、ニカへの気持ちは、他に例えようのない恋心で、臆病な私の唯一の宝物。

それを偽れるわけがなかった。



「それならっ、絶対に、ニカを離しちゃダメだよ!絶対に!」



真紀は、きっと、気づいていた。

だから、私を踏み切らせないようにと、私の恋を守ろうとしてくれた。



「ありがとう。でも、………そう言うわけにも、いかないでしょ?」



情けなくしか笑えなくなってるのは、わかってる。それでも、今は、無理してでも笑っていなければ、心が壊れてしまいそうだった。



「A…………ごめん。」



軽く軋んだ音をたてて、ドアが開く。








「ねぇ、どういうこと?………Aちゃん。」








掠れた声が、いつもより低く。




長い指先が掴むのは、日本酒のボトル。




そして、




私が数時間前に買ったばかりの七色のツバサが印刷された白い箱。







「ニカ………。」







呆然とする私を置いて、真紀がニカの胸を軽くパンチしてドアの向こうへ消えていった。

境界線→←ダイスキデス



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植尾あい(プロフ) - 千明さん» if聞きながら?!私、自分の書いた妄想のくせに、それやると悲しくて涙ぐむんですよ……どうかしてる。祈りも最近やばいです。シーンタイトルにしちゃいました……切なくて苦しい展開ですが、この先の二人信じて見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ゆうさん» お久しぶりです!もう、ウタゲ終わってキスブサもおやすみで、本当にニカ不足(・_・、) あ、でも、プレバトは、可愛かった!お話の方は、切ない展開ですが、リアル二階堂くんに癒やされながらがんばります! (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - 由夏さん» ありがとう(ノД`)でも、ちょっと切なすぎる展開。二人が強く心を繋いでいてくれると信じて、書き続けます。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - amiさん» お久しぶりです(*´∀`*)ノamiさん。切ないけれど、お互いを求め、思いやる気持ちが伝わっていたら嬉しいです。思いやるあまりに少しずつズレてしまった思いが、この先、どうなっていくのか見守って下さいね。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - chizuruさん» 秋の夜長のお供になれたでしょうか?こんな切ないシーンお供にしてもいいのかなぁ。でも、そう言ってもらえて嬉しい。そして、どこか当てはまる歌詞が切なさの中に温かさを感じさせてくれる。 (2015年10月7日 8時) (レス) id: bb151ab1c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月23日 7時

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