許し ページ7
照明の落とされた店内でよかった。
仕切られたテーブル席でよかった。
人前で泣くなんて……。
目の前で真紀が手を合わせて謝り始める。
「ごめん。嫌なこと思い出させて。
あぁ〜泣かないで〜。私まで泣きたくなる。」
そう言って、つられるように涙目になる真紀が可笑しくて、泣き笑い。
「なんで、真紀が泣くのよ。」
「だって、Aがどれだけ辛かったか、十分知ってるはずなのに、思い出させて、泣かせて……ｸﾞｽｯ」
「やめてよ…、もう。」
二人で泣いて、思い切り鼻をかむ。
そして、笑う。
こんな風に思ってくれて、支えてくれる真紀がいたから、笑えるようになったんだよ。
「真紀、ありがとう。」
唐突に日頃の感謝を伝えてみたら、
「やだぁ、また、涙出る。ｳｩ」
って、泣き出した。
泣いてる真紀を慰めようと、頭を優しく撫でる。
ニカみたいな癒しは得られなかったけど、優しい気持ちは、満タンになった。
友情を確認して、心もお腹もいっぱいになった私たちは、店長のご厚意で格安となったお会計をキッチリ割り勘て支払ってお店を出た。
反対方向の電車に乗る真紀とは、改札でお別れ。
「またね。おやすみ。」
いつもみたいに笑って手を振ると、急に真紀が私のことを抱きしめた。
「どっ……どうした？酔っ払った？」
慌てる私をギュッと抱きしめると、真紀が耳元で囁いた。
「A、もう、自分のこと許してあげて？」
どうしてあの時……。
どうしてもっと……。
繰返し、自分に問い詰めた。
そんな、弱い私を見てきた真紀だけが許される台詞。
「…… ありがと。」
真紀をそっと抱き締め返した。
「恋して、いいんだよ。
好きになって、いいんだよ。」
真紀の優しさに包まれて、耳元でささやかれる言葉は、あの日のまま、前に進めずにいる私へ、差し伸べられた許しのようだった。
怖がって、立ち上がれずにいる私を、立ち上がらせてくれようとする、優しい手だった。
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植尾あい(プロフ) - ちいさん» 生き甲斐だなんてっ！感激です。『欲張り』のあのシーンは、書き始めた時から、絶対に書く！と、決まってたシーンなので気に入って貰えて嬉しいです！仔犬感と大人感のバランス、うまくとりながら、日々、妄想に励みますっ(笑) (2015年3月2日 11時) (
レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 作者様の作品を読むのが最近わたしの生き甲斐レベルです（ ; ; ）もう仔犬なのか立派な男なのかわからない魅力的すぎる隣人ニカちゃんに毎日萌えています//私も欲張りのあのシーンたまらなく好きです！溢れ出す妄想、これからも楽しみに読ませていただきますね！ (2015年3月2日 2時) (レス) id: 7ce2ec877c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - aiMyuさん» 通勤のお供になれて光栄です！私的に朝が都合よくて、朝更新してますが…そうですか、不審者(笑)これは、大人な展開は、避けた方がよさそうですね。朝からねぇﾌﾌｯ。帰宅後に読み返して貰えるなんて！ありがとう。これからもよろしくお願いします！ (2015年2月26日 20時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
aiMyu(プロフ) - コメ返しwwあの、あいさんて朝更新してるじゃないですか？私、通勤中に読むんですよね。毎朝、電車内でフゥーって息吐きながら、ニヤニヤしちゃって…私、完全に不審者ですwwそして帰宅してから読み返す♪♪本当に尊敬してます☆ (2015年2月26日 15時) (レス) id: 81939e753e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - キスマイさん» ハイハイ♪いらっしゃーい(笑)自分でももどかしくなりながら書いてます。でも、皆さんにキュンしてもらえて頑張れます！仕事バラしはねぇ……ｳﾌﾌ…お楽しみに♪いつでもお喋りしに来て下さいね♪お待ちしてまーす。 (2015年2月26日 8時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年1月19日 8時
