大切な二人 ページ34
「いやいやいや。
鍵開いてたからって、普通に入ってくるニカもどうかと思うけどね。」
真紀が笑いながら突っ込む。
「オレは、いいのっ。」
「でたな、無邪気と言う名の自己中。」
「もうっ!Aちゃんの友達、なんなの?」
そう言って、不貞腐れたように頬を膨らませて私を見るニカは、最高に可愛い仔犬で、ヨシヨシって撫でてあげたいくらいだったけど、また、真紀に何て言われるかわからなかったから我慢。
その代わり、私の隣にセッティングされた、三人目の席に座るように促した。
窓から差し込む光に照らされたニカの横顔は、あまりにも眩しくて、その輪郭に心奪われた。
「しかも、待っててって言ったのに、始めてるし…。」
ブツブツ文句を言うニカを無視して、真紀が仕切る。
「ほら、ニカ。グラス。」
真紀がシャンパンのボトルをニカに向けると、拗ねた顔のままでもグラスを差し出す。
「やっと、始められるわ〜。
じゃ、改めまして、明けましておめでとう〜。」
「おめでとう〜!」
軽い音を立ててグラスを会わせると、二度目の乾杯。
「うんまいっ!」
ニカの機嫌も笑顔も戻る。
丁度よく煮立ち始めた鍋の蓋をとると、トマトの香りの湯気が上がる。
「すごいねっ!Aちゃん、こんなのも作れるんだねっ。
オレ、マジでAちゃんのペットになろうかな〜。」
子供みたいに目を輝かせて、躊躇なくそんなこと言えるのは、ニカのキャラ。
それとも、本心?打算?
私への思わせ振りなトラップ。
「A、今さらだけど、紹介してよ。」
「あっ…そうだったね。なんか、既に打ち解けてるから忘れかけてたよ。」
ここまで自己紹介なしで打ち解けてるから、もはやこのままでもいいんじゃないかと思うけど、どちらも私の大切な人だから、仲良くしてほしい。
「ニカ。こちらは、私の親友の真紀。私のこと、たぶん、私よりわかってる人。」
真紀のことを紹介するのに最適な言葉。
「で、こっちが、ニカ。」
「えっ…えっえっ、それだけっ?」
「あー、私のペット。」
「だからっ!ペットじゃないからっ!」
ふざけて紹介したけど、もう、真紀には、ニカのこと話しちゃってるから、これ以上は、自分のボロが出そうで言えない。
それに、紹介できるほど、私は、ニカのことを知らない。
608人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
植尾あい(プロフ) - ちいさん» 生き甲斐だなんてっ!感激です。『欲張り』のあのシーンは、書き始めた時から、絶対に書く!と、決まってたシーンなので気に入って貰えて嬉しいです!仔犬感と大人感のバランス、うまくとりながら、日々、妄想に励みますっ(笑) (2015年3月2日 11時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 作者様の作品を読むのが最近わたしの生き甲斐レベルです( ; ; )もう仔犬なのか立派な男なのかわからない魅力的すぎる隣人ニカちゃんに毎日萌えています//私も欲張りのあのシーンたまらなく好きです!溢れ出す妄想、これからも楽しみに読ませていただきますね! (2015年3月2日 2時) (レス) id: 7ce2ec877c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - aiMyuさん» 通勤のお供になれて光栄です!私的に朝が都合よくて、朝更新してますが…そうですか、不審者(笑)これは、大人な展開は、避けた方がよさそうですね。朝からねぇフフッ。帰宅後に読み返して貰えるなんて!ありがとう。これからもよろしくお願いします! (2015年2月26日 20時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
aiMyu(プロフ) - コメ返しwwあの、あいさんて朝更新してるじゃないですか?私、通勤中に読むんですよね。毎朝、電車内でフゥーって息吐きながら、ニヤニヤしちゃって…私、完全に不審者ですwwそして帰宅してから読み返す♪♪本当に尊敬してます☆ (2015年2月26日 15時) (レス) id: 81939e753e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - キスマイさん» ハイハイ♪いらっしゃーい(笑)自分でももどかしくなりながら書いてます。でも、皆さんにキュンしてもらえて頑張れます!仕事バラしはねぇ……ウフフ…お楽しみに♪いつでもお喋りしに来て下さいね♪お待ちしてまーす。 (2015年2月26日 8時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:植尾あい | 作成日時:2015年1月19日 8時