サンタクロース ページ22
「なんなのよ…まったく…。フフッ」
唐突に切られたことに、特別腹は立たなくて、ニカらしさに思わず笑いが込み上げる。
「しかし、クリスマスに『一人?』って、絶対に嫌味だよ…。」
ニカとの短い会話とスマホを通したその声を思い出して頬が緩む。
さっきまで、テレビに映るアイドルたちに悪態をついていた私は、どこへやら…。
ニカの癒し効果は、抜群だった。
「さてとっ。」
気合いを入れるように少し大声で言うと、もう一度、紙袋を手に取る。
これで、部屋にいないことがわかったから、今日は、渡せない。
数分前までどうしようかと迷っていた自分が嘘みたいに落ち着いて、同時に、渡せないことにガッカリしていた。
「仕方ないよね。」
そう呟いてから、紙袋をクローゼットの中へ戻そうとした時、スマホが着信を知らせた。
「ニカだね。」
さっきの予告メールだと確信して、画面にタッチする。
「アハハハハハッ」
開かれた画面いっぱいに、ニカが送ってきた写真。
「何やってんのよ〜ブフッ。」
そこには、サンタクロースの格好をしたニカが満面の笑みでこっちを見ていた。
「ニカっていったい、なんの仕事してんのよ。アハハハハハッ。」
一人の寂しいクリスマスが、一気に、一人で爆笑のクリスマスに変わった。
「そうだっ!」
ひとしきり笑って、息継ぎをすると、私の頭に名案が閃いた。
片付けようとしていた紙袋をテーブルに戻すと、ストックしてあるポストカードからクリスマス風のものを選ぶ。
「ふんふんふ〜ん♪」
自然と口ずさむ鼻唄は、ジングルベル。
手に取ったペンでポストカードにメッセージを書き込む。
―・―・―・―・―
よいこのニカちゃんへ
プレゼントだよ。
泣き虫サンタより
―・―・―・―・―
余計なメッセージは、すべて省いて。
名乗らなくても、ニカなら私だって気づいてくれる。
根拠のない自信。
ポストカードを紙袋へ入れると、ニカがいないことが明確なのをいいことに、ダッサイ部屋着のまま、百均のサンダルを引っかけて部屋を出た。
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植尾あい(プロフ) - ちいさん» 生き甲斐だなんてっ!感激です。『欲張り』のあのシーンは、書き始めた時から、絶対に書く!と、決まってたシーンなので気に入って貰えて嬉しいです!仔犬感と大人感のバランス、うまくとりながら、日々、妄想に励みますっ(笑) (2015年3月2日 11時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 作者様の作品を読むのが最近わたしの生き甲斐レベルです( ; ; )もう仔犬なのか立派な男なのかわからない魅力的すぎる隣人ニカちゃんに毎日萌えています//私も欲張りのあのシーンたまらなく好きです!溢れ出す妄想、これからも楽しみに読ませていただきますね! (2015年3月2日 2時) (レス) id: 7ce2ec877c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - aiMyuさん» 通勤のお供になれて光栄です!私的に朝が都合よくて、朝更新してますが…そうですか、不審者(笑)これは、大人な展開は、避けた方がよさそうですね。朝からねぇフフッ。帰宅後に読み返して貰えるなんて!ありがとう。これからもよろしくお願いします! (2015年2月26日 20時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
aiMyu(プロフ) - コメ返しwwあの、あいさんて朝更新してるじゃないですか?私、通勤中に読むんですよね。毎朝、電車内でフゥーって息吐きながら、ニヤニヤしちゃって…私、完全に不審者ですwwそして帰宅してから読み返す♪♪本当に尊敬してます☆ (2015年2月26日 15時) (レス) id: 81939e753e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - キスマイさん» ハイハイ♪いらっしゃーい(笑)自分でももどかしくなりながら書いてます。でも、皆さんにキュンしてもらえて頑張れます!仕事バラしはねぇ……ウフフ…お楽しみに♪いつでもお喋りしに来て下さいね♪お待ちしてまーす。 (2015年2月26日 8時) (レス) id: dd156b7728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年1月19日 8時