優しい声 ページ44
「ニカ……起きて。」
起こすのが少し可哀想だったけど、このまま寝かせるわけにもいかない。
「んんっ……。」
薄目を開けて眩しそうにするニカを無理やり起こす。
「部屋、戻って寝よう。」
「んー……このまま、寝かせて……。」
「ダメだよ。風邪引く。」
ボンヤリしてるニカを立ち上がらせ、玄関へ向かう。
「ごちそうさまでした。」
靴を履くと、眠そうに目を擦りなから、それでも、キチンと挨拶をする。
「うん。今度は、ネギも食べてね。」
「それは無理。」
寝ぼけてるのに、そこはちゃんと答える。
「次は、ギリッギリじゃないヨーグルト持ってきてね。」
「うん。誰かに貰ったらね。」
「手土産=貰い物 なのね。」
「ﾝﾌｯ ダメ？」
「別にいいけど。ﾌﾌｯ」
ねぇ、この会話から、次があるって思っていいのかな？
「Aちゃん、癒された？」
「えっ？」
急に質問を変えてくるから、ニカのペースに巻き込まれる。
「癒された？」
「……… うん。ありがと。」
「よかった。」
そう言って、お日さまみたいな笑顔。
なんだか、この笑顔に甘えてばかりいられない気がしてくる。
私のものでもないんだから……。
「本物の犬、飼おうかな…。」
純粋に癒しを求めてるなら、犬でも十分。
そう思って口に出してみたけど、もう、犬の毛並みと従順さだけでは、足りなくなっていることは明確で。
手放したくない思いが、感覚が、目の前のニカを独り占めしたくなる前に、どうにかしなければと焦る。
「なんてね……。」
処理しきれなくなった発言を曖昧に終わらせようとすると、優しいニカの声が続いた。
「オレでいいじゃん。」
「えっ？」
「トイレのしつけ要らないよ。ﾌﾌｯ」
「そうだね。」
「ビールも飲めるよ。」
「そうだね。犬とじゃ呑めないしね。」
何処まで真面目で、何処から冗談かなんて、どうでもいい。
ニカの言葉がうれしかった。
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
「鍵、ちゃんと閉めなよ。」
「うん。」
偉そうに戸締まりを注意してから私の部屋を出ていくニカを見送って、鍵をかける。
少しの間が空いてから、ドアの向こうを離れていくニカの足音が聞こえた。
そういう優しさが私の心を揺さぶるんだよ。
一人になった部屋にニカの温もりを探して、明けていこうとする夜に逆らうように眠りについた。
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ふるみ♪ - ニカは私のすべて〜☆にかが主人公ということでこの小説よんだら面白い！じゃないか！これからもこれ読み続けたい！ (2016年7月29日 21時) (
レス) id: 2271a2e46e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» ありがとうございます(*^_^*)二階堂くんの雰囲気でてますか？よかったー。私の頭の中の妄想二階堂くんなので、願望てんこ盛りですが、えりPさんの癒しになれていたら嬉しいです。 (2016年4月16日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん♪♪作品素晴らしいです！ニカの声や表情がにニカらしくて、すごく引き込まれています。ニカからの優しいハグに涙が溢れてきました。引き続き、ニカの世界を楽しませていただきますね。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» はじめまして(*^_^*)最初から読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます。パスワード作品については、メッセージで送らせていただきますので、ご確認ください。これからも、よろしくお願いします。 (2016年4月11日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん、はじめまして。えりＰと申します。hiyoちゃんの紹介で、これから読むのをとっても楽しみにしています。承認よろしくお願いします。 (2016年4月11日 9時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2014年12月23日 18時
