一人鍋と反省 ページ35
「豚バラと野菜の蒸し鍋。」
「鍋っ？」
「そう。鍋。」
聞かれたから答えたのに、何故か怪訝なニカ。
「鍋、一人でやるつもりだったの？」
あっ………そう言うことね。
「夜中に、一人鍋？ﾌｯ」
しかも、鼻で笑ったね……。
「そうだよ。一人で食べるつもりだよ。」
『一人で』を主張して、ちょっと、いじわる。
鍋は、一人でやると寂しい料理なんて、誰が言い始めたのかしら…。
「一人鍋、最高でしょ？
他人を気にせず自分の箸突っ込めるし〜。
肉の取り合いにならないし〜。」
「あ……ごめん、ごめん、ごめん！」
自分の失態に気がついて、慌てて謝り始めるニカ。
その姿が可愛くて、もうちょっといじわる。
「じゃあね。あーお腹すいた〜。」
そう言って、部屋のドアを開けて、大げさに入ろうとしたら、
「Aちゃんっ！」
半分ほど開いたドアにニカの手が掛かって、私の帰宅を阻止する。
目の前にニカの腕。
流行りの壁ドン……ならぬ、ドアドン？
「……… 入れない。」
「ごめんねって。」
イタズラを叱られた仔犬が、しょんぼりしてるみたい。
「別に怒ってないよ？
今までだって、一人鍋だったし。
何言われようが、バカにされようが、一人鍋するもん。」
「怒ってんじゃん…。」
「怒ってないって。」
さて、この辺でやめとくか。
「……… ニカ。」
持っていたビニール袋を足下に置いて、しょんぼりしてるニカに、向かい合う。
「……はい。」
お説教が始まるとでも思ったのか、うつむき加減のまま返事をする。
ヒールを履いた私よりも、背の高いニカ。
なのに、今のニカは、小さくって可愛い仔犬。
そう、この子は、仔犬。
心の中で呪文を唱える………。
「お手。」
「……… えっ？」
「だから、お手。」
差し出した私の右手と私の顔を交互に見て、固まる姿が可笑しくて、我慢していたのについに吹き出した。
「ﾌﾌｯ ご飯、食べたいんでしょ？」
「……… うん。」
徐々にニカの顔が笑顔に変わっていく。
「お手。」
「ワン。」
私の右手に、ニカの握られた右手が乗せられる。
「ﾝﾊｯ だから、プライドは、ないのかいっ！」
「必要ないっ！ワン。」
目の前には、笑顔でワンコポーズのニカ。
可愛い仔犬。
さっき、壁ドンならぬドアドンに、ドキドキしたのは、教えてあげない。
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ふるみ♪ - ニカは私のすべて〜☆にかが主人公ということでこの小説よんだら面白い！じゃないか！これからもこれ読み続けたい！ (2016年7月29日 21時) (
レス) id: 2271a2e46e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» ありがとうございます(*^_^*)二階堂くんの雰囲気でてますか？よかったー。私の頭の中の妄想二階堂くんなので、願望てんこ盛りですが、えりPさんの癒しになれていたら嬉しいです。 (2016年4月16日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん♪♪作品素晴らしいです！ニカの声や表情がにニカらしくて、すごく引き込まれています。ニカからの優しいハグに涙が溢れてきました。引き続き、ニカの世界を楽しませていただきますね。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» はじめまして(*^_^*)最初から読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます。パスワード作品については、メッセージで送らせていただきますので、ご確認ください。これからも、よろしくお願いします。 (2016年4月11日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん、はじめまして。えりＰと申します。hiyoちゃんの紹介で、これから読むのをとっても楽しみにしています。承認よろしくお願いします。 (2016年4月11日 9時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2014年12月23日 18時
