表札の答え ページ29
「オレ、いつまでペット扱いなの？」
なんて、不貞腐れた言い方でこっちを見る。
不満そうなアヒル口。
そんな表情するから止められなくなるんだよ。
「んー………。ずっと？」
「マジで！？」
「今のところね。だって、仔犬みたいなんだもん。」
「うぅぅぅ……今に見てろよ。」
すっかり仔犬の暗示を自分のものにした私は、キミとの距離の取り方にも慣れてきた。
だから、ドキドキする前に、キミを仔犬に変身させる。
そうすれば、思い切りキミを構って、可愛がることができる。
この関係を何て言うかは、わからないけど。
久しぶりに感じる、居心地のいい関係な気がして、出会ったばかりのキミを手放したくなかった。
「うわっ！ヤベッ！もう行くわ。」
待たせている友達から、lineが入ったみたいで慌て始めるキミに、今度は、私が聞く順番。
「ねぇ、引っ越してきた時から気になってたんだけど…。
キミんちの表札、なんて読むの？」
ずっと気になってた表札問題。
『ニカ』
の謎がやっと解けると思ったのに、キミの答えは、さらに謎を深める一方。
「えっ？」
「だから、キミんちの表札っ。」
大きな口、ポカーンって開けて。
呆れたように私を見ながら、出してくれた答えは、
「大丈夫？カタカナ読めないの？」
だった。
「えっ？カタカナ？漢字じゃないの？」
「そうだよ。カタカナ。読める？」
「……… まさか、カタカナだとは…。」
呆気に取られる私を尻目に、キミは、ちょっとだけ勝ち誇った顔。
「『ニカ』は、『ニカ』だよ！」
「…ニカ……？」
「うん。みんなそう呼ぶから、呼んで。
あっ、あと、傘貸して。」
みんな呼ぶからって、それは、ニックネームなんじゃないの…？
普通、表札にニックネーム書くか？
と、混乱しながら、「ビニール傘でいい？」と、シュークロークから出番の少ないビニール傘を出して渡す。
「ありがとう。ちゃんと返すからね！」
パッと私の手からビニール傘を受け取ると、ニカは、風のように姿を消した。
「ニカ……。
何となく、その傘は、返ってこない気がする…。」
傘を持って出ていくニカの姿が、壊れた傘を振り回して歩く小学生男子を想像させた。
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ふるみ♪ - ニカは私のすべて〜☆にかが主人公ということでこの小説よんだら面白い！じゃないか！これからもこれ読み続けたい！ (2016年7月29日 21時) (
レス) id: 2271a2e46e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» ありがとうございます(*^_^*)二階堂くんの雰囲気でてますか？よかったー。私の頭の中の妄想二階堂くんなので、願望てんこ盛りですが、えりPさんの癒しになれていたら嬉しいです。 (2016年4月16日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん♪♪作品素晴らしいです！ニカの声や表情がにニカらしくて、すごく引き込まれています。ニカからの優しいハグに涙が溢れてきました。引き続き、ニカの世界を楽しませていただきますね。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» はじめまして(*^_^*)最初から読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます。パスワード作品については、メッセージで送らせていただきますので、ご確認ください。これからも、よろしくお願いします。 (2016年4月11日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん、はじめまして。えりＰと申します。hiyoちゃんの紹介で、これから読むのをとっても楽しみにしています。承認よろしくお願いします。 (2016年4月11日 9時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2014年12月23日 18時
